襲撃者 4
「なんていうか、人を殺しかけちゃっで、それを一度は助げだけど結局は死刑になるって考えるどなんで言っていいか……」
ムツヤはたどたどしく言った後、そこでハッとしてモモを見て続ける。
「あ、いや、もちろんアイツは罪もないオーグの人達を殺した悪人ですがらそうなるのは当然だと思います」
死刑がどういう事かは本で知っていた。モモもなんと言えば良いのかわからない。
ただ一言目を閉じて思いついた言葉を出す。
「お優しいのですねムツヤ殿は」
そんなしんみりとしてしまった空気の中で、今まで散々ムツヤに突っかかってきたバラが気まずそうに近付いてきた。
「えーっとあんた、改めて俺は礼を言うよ。それと今まで悪く言って本当にすまなかった。だけど、あんたに恩義を感じるから、これはあんたを心配して言いたいんだが」
バツが悪そうに頭をかいた後、言葉を続けた。
「あんたのそれは優しいっていうんじゃなくて『甘い』って言うんだ。世の中には情けをかける必要もないどうしようもない悪人もいるんだ」
ムツヤは黙ってバラの言葉に頷く。次はモモに対しての詫びの言葉だった。
「モモも散々悪く言って本当に悪かった、言い訳だがおふくろ殺された怒りを俺はどうしたら良いのかわからなかったんだ」
「バラわかっている」
モモは笑ってバラの事を許した。仕方がない。
あのような事が起きてしまったのであれば誰だって乱心してしまうと。
その後もオーク達はちらほらとムツヤに礼を言いに来る。
大体は村の脅威を捕まえてくれてありがとう、薬で助けてくれてありがとうという内容だったが、何故かムツヤはそれら全ての言葉を喜んで受け取ることが出来なかった。
そこから一段落して、葬儀が始まることになった。遺体の腐敗が進んで来ているために慌ただしいがやむを得ずだ。
「本当に良いのですか?」
モモは犯人が捕まり、約束通りムツヤを街まで案内すると提案したが、ムツヤはそれを辞退する。
「お葬式が終わっでがらにしましょう、俺も参加しまず」
モモは一言ありがとうございますと言う。そのありがとうには実に色々な意味が込められていた。
村の中心で棺に入れられた二人が並んでいる、バラの母親ともう一人の犠牲者のオーク。オーク達は花を入れ、涙を流し、祈りを捧げる。
「オーク達は死後に良き戦士とそれを支えた者はロトントという楽園に行けると言われている。あの二人ならばきっと大丈夫でしょう」
「そうですか」
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