another time 12
side ナルシ
一ヶ月経ったあの日。
颯人と次の撮影の打ち合わせに行った後、蒼海にショウから連絡があったと知り身体が震えるほどの歓喜に包まれた。
ついに来た!ついに来た!
そんな僕を見て怪訝な様子を見せる颯人に先にスタバに行くように促してから電話した。
前に会った時とは違ってつっけんどんな口調だったが、夕飯の誘いに戸惑う様子はあの時と重なり愛しさが増した。
早く会いたくて次の日を指定した。すぐ近所の店に予約を入れた。
及ばずながら、会った時前回と違って誠実なイメージを感じて欲しくてスーツを着て髪も整えた。
当日、わざわざ服を買って着替えて来てくれたことに彼の誠実さを感じた。
蒼海や颯人に、ショウと知り合ったキッカケは嘘をついた。ショウはこちらを見たが本当の事は言わないほうがいいだろ?と念を送るとショウは否定しなかった。
ショウは初めて会った蒼海と颯人を純粋に気に掛けていた。蒼海と颯人はそれぞれ個性が強くてクセがあるが、それにも関わらず打ち解けていたショウの二人に対する態度が面白くなかった。
彼も僕に対しては無口になるし、先ほどさり気なく肩に触れたら身体に力が入って怖がっているようだった。
自業自得だけど悲しかったので、ギャアギャア言う二人を無視してレストランで謝罪をする言葉を考えながらそちらへ向かった。
ショウはレストランを気に入ったようだったので、ホッとした。外で、しかも高級な店で食べたのが、久しぶりだったそうだ。
先程の緊張した顔から一転彼の幼い子供の様な表情に、心を揺さぶられる。
彼は素直にメニューが分からないから肉頼んでと任されたので嬉しくてお気に入りを頼んだ。
ワインを飲むか聞いたら、最高で五千円位のを
その時ショウが殆ど飲んだので怒られたらしい。
彼が僕を牽制する為に恋人の話をするのは予想していた。まさか初っ端からだとは思わなかったので、やはり面白くない。
その感情を隠して、対抗しようともっと高いワインを頼んだ。乾杯した後、直ぐ口へグラスを持っていって一口含んで味を確かめたと思ったら水のように一気に飲んでしまったのには驚いた。
二杯目はついでもらったら直ぐ半分位まで飲んでしまった。
それからやっと前菜のサラダとスープに手をつけたので安心した。
僕はショウに一所懸命謝った。そして彼のどこに惹かれたのかを伝えると絶句していた。
本当のことだったのに軽くあしらわれた。
しかし、彼は両親を亡くし、恋人も
僕が彼に感じた儚さは彼を取り巻く孤独が存在感をも上回っていたからだろう。
彼を返したくなくて、バーに誘ったら素直に着いてきた。やはり、引きこもりで酒を飲みに外へ出ることも、家で一人飲むのも湿っぽくなると、避けていたらしい。
でも僕じゃ無くても付いて行きそうで残念だった。
彼は段々饒舌になって恋人の事を話し出した。酒を飲むペースも早く、何度か注意したが聞かなかった。
延々と語られる惚気話に気が滅入った所で急展開が来た。
「なあ、ラーメン食べたい」僕の袖を掴んで上目遣いに見たのだ。
僕は初めて見たその甘えて媚びた様な仕草に柄にも無く激しくときめいた。顔を赤くして蠱惑的に微笑む彼に心臓の鼓動が高まった。
グッと我慢して常識人のように宥めているとそのうち目つきがおかしくなってきたので外に連れ出した。あわよくば家かホテルに連れ込もうと。
外に出ると彼はやはり飲み過ぎたようで道の端の溝までなんとか行って、吐き始めた。背中を摩っていたら起き上がり、僕に縋り付いて何か言おうとしてまた吐いてしまい、僕の服はゲロまみれになった。縋りついたままずりずりと倒れ込んだので慌てて抱えると気を失っている。
本当に連れ帰るしかなかった。
彼を背負ってやっと家まで着いたが彼は時々「眠い」と呟くだけだ。風呂場でショウの服を脱がして、空の浴槽に入れてもたれさせた。僕も脱いで一緒に入り、洗い場で自分と二人の服を適当に洗い、洗った後バスローブを羽織り風呂場の隣にあるドラム型洗濯機にそれを放り込んでスイッチを押した後、彼の側に膝立てて、彼の身体の全身を洗った。
どこまでも白いショウの肢体に目を奪われた。同時に病的に痩せているので、引きこもりで収入が無く、食費を浮かすために食べないのではと早合点してしまった。
片手で頭を支えつつ髪の毛を洗ってたらすすぐとき顔に湯をかけてしまい、少し目が覚めたようだった。途中で腕を軽く叩かれたが構わずにその手も身体も丁寧に洗った。
ここまできたらまた彼を抱こうと決めていた。
彼の性器を余す所なく観察した。どうすれば彼を喜ばすことができるのだろうと。小学生サイズのままの男性器と更に下に女性の小さな膣口があったのは前回分からなかったので更にテンションが上がった。尻の穴は僕や恋人を受け入れられた様に普通サイズのようだった。生殖器がどちらも未発達だったのだ。
起きるのを承知で残っていた浣腸器を使った。
案の定目覚めてパニクってたが、可愛いだけだった。
また吐いてしまってドロドロの顔を丁寧に洗い、わざと穴に指を入れて感触を楽しんだ。
まだ酔いが完全に覚めてないようだったので体を拭いてやり、ソファーに運んだが無抵抗だった。
色々精神的に取り乱して落ち込んでいる彼を見るのは面白かった。
まさかソファーで寝たいと彼に蹴り出されたのには驚いたが一応言う事を聞く振りをしたら、直ぐに寝てしまった。
こんなに酔ってる状態で抱きたくなかったので、暫くベッドに横になってたらいつの間にか眠ってたらしい。
ペタペタと音がしたので見るとショウが起きて裸足で歩いていたので驚いて近寄った。
まさか出ていくのか?
トイレと聞いても不安は消えず前で待って出てきたところをベッドに連れていった。
非力な彼を抱きしめたら、この後に及んでも恋人、久音を懐かしむ彼に我慢できなくなった。
深いキスをして強引に愛撫すると、大した抵抗もなくなったので少し可哀想だとは思ったが、散々前の恋人の惚気話を聞かされた気持ちを逆にぶつけるように彼を抱いた。
僕のを入れようとした時に彼は泣きながら口でするから入れないでと言った。僕のをフェラチオしているショウを想像してゾクゾクしたが、わざと素っ気なく却下した。
前よりは滑らかに入った彼の中は気が狂いそうなくらい気持ち良かった。直ぐに出したくなるのを必死で我慢した。
ショウも入れた途端に射精した。彼の小さな射精は更に気分を上げさせ、乳首を彼の精液でなぶると敏感らしい彼は我を忘れたように先を膨らせて感じまくっていた。
合間に「ごめん」とか「許して」と呟きが聞こえたが、構わず抱きしめて攻め続けた。
ずっと久音と言ってたのが、僕の脅迫に近い懇願でナルシと呼んでくれて有頂天になった。もう、僕のモノだ、僕の元に繋ぎ止められた、と。
僕もイきたいのを我慢できなくなって、なるべく奥に行くように突っ込んで出した。肩に爪を立てられたが気にならなかった。彼は僕ので快感に追い込んでイった、感無量だった。
快感に浸ったのは一瞬だった。
ショウは最後に久音の名を叫んで気絶したのだ。
最後に裏切られたようだった。彼を抱いていたのは、気持ちよくさせたのは僕なのに、久音とか言う奴に横から掻っ攫われたような最悪な気分になった。
気を取り直してもう一回そのまましようと思ったが、彼は目覚めないし、気分も落ちたままなのでついに勃たなくなった。
満足できずにかれを裸にして全身を舐め回して愛撫した。相当歪んでる、拗らせてる、自分でも嫉妬でおかしくなっているのが分かっていた。
ショウの身体を拭いてからまた舐めてそのまま放置したから、彼がシャワーを浴びた時に僕が何をしたかわかるだろう。
暗い喜びでそこまで考えて、僕はショウと比べてなんて汚いんだろうと吐きそうになった。
洗濯できた彼の服をわざとソファーに置いた。
頼りなく裸で動き回るショウを想像し、実際見たかったが、同じ空間にいるのが辛くなって彼を置いたまま朝まで飲みに行ってしまった。
そこまでしても、彼を手放す事は考えられなかった。いない間に逃げられないようにバッグは持ち出した。
前から頼まれていた事務所の手伝いとして採用する。
まずは繋がりを保つようにして、次第に僕だけにに依存してくるように仕向ける。
彼の孤独につけ込んで、甘えさせて身体だけでも依存する様に。
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