time 10

「僕は、僕って言ってるけど、本当は 男でも女でも無いんや」


ショウは顔を歪めて声を絞り出すように言った。


「薬のせいか?何言っとん?」

久音の手を股の間に誘った。トランクスの内側に。

思わず手を引っ込めようとしたが上から押さえつけられた。 


「両性具有って知っとる?僕は男性器はあるけど子供の頃から大きさ変わらへんし。しかも袋の下に穴空いてて。卵巣は無いけど子宮らしきものはあるって。子供できへんって、生理すら無いのに」


久音はそっと指を動かして、性器を触ってみた。


「生まれた時男と思われて、そのまま男の性別で戸籍になってるけど違和感は子供の頃から拭えない。

祥一郎なんて、一郎なんて立派な男はいない。だからショウでいいんや。

僕のこの気持ちは、男なんか女なんか分からんねん」



ショウの告白は久音の心に衝撃をもたらした。

実際に性器を順番に触ってみて納得した。


彼の不思議な雰囲気はそこから来ているのかもしれない。

でも彼の優しさは両性を超えたところにあった。

それは絶対的な優しさだ。


「一応、祥一郎やし、男として生活してたから、女っぽくなりた無いからなるべく太らんようにしてんねん。胸が出てくる時あるから…

性別、別になんて、できへん」


しかし久音は手を離さず、ゆっくりとショウの小さめの男性器を刺激し続けた。改めてちゃんとショウの目を見た。

「正直ビックリした。ショウはずっと悩んでたんやな」

彼は久音を見ていた。その顔は羞恥と彼からの刺激で赤くなっていて、その上に不安が混じっている。


「俺はショウが好きだ。こんな事言うのどうかと思う。

男か女か、どっちにしても俺はショウが好きだと思う。迷惑やと分かってんねんけど」


「迷惑だなんて思っとらんよ。ただ久音の気持ちには応えられん。あんたはいい奴や。でもよく分からんのや。愛してるって感覚も分からんねん。どっちにも、何も感じたことないねん」

ごめん、とショウは悲しそうに言った。

「ごめん、せっかく告白してくれたのに、僕なんかに」


久音は彼を好きな気持ちでいっぱいいっぱいになり、片手でショウを抱きしめた。

「いいんや。ショウが悪く思わんといて。十分や、今のショウが好きなんや」


「久音、いいんか?」

久音は静かに顔を近づけて、そっと彼の唇を舌でなぞった。


「嫌やった?」

「嫌やない。気持ちええかも」更にショウの顔が赤くなった。触られていた彼の小さな肉茎が硬くなっていた。

「続きやっていい?」


少しだけ躊躇っていたが「久音がしたいならええよ。

どうしたらいいん?」と聞いた。

久音はごくりと唾を飲んで、もう一度深く、舌を絡めるキスをした。



「全部愛してるから」強く抱きしめた。

ショウも頷いて抱きしめ返した。

ありがと、と囁いた。

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