第38話 透明なエレベーター
そのショッピングモールが出来たのは自分が小学生の頃だった。
今はそうでもないが、高い所が怖くて、母親が経営してた旅館から中庭を覗くと、目がクラクラした。
あの当時、ガラス張りで上下に行ったり来たりするエレベーターは珍しかった。
そのショッピングセンターにはそれが装備されていて、乗ると怖かった。
怖った時の記憶だけが夢になり、エレベーターに昇る夢を見る。
だが。ショッピングモールは迷路になっていて、何処かに行こうとすると、又エレベーターに乗っている。
迷路の中はちぐはぐで、その近所にあるもう一つのデパートの屋上に近くのレストランに出たり、前に住んでいたマンションのエレベーターになったり。
エレベーターを降りて、階段を上ると当事、国電と言われていた頃の近鉄デパートの屋上に出た。
そこには昔懐かしいゲームの筐体が並び、当時、他一緒にたむろしていた中学時代の同級生がいたりした。
小学生の記憶と中学生の記憶が混じっていると気づいた時に、これは夢なんだと自覚するが、迷路からは中々、出られなかった。
ただ、歩き疲れちゃったと思ったら、目が覚めた。
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