第30話 寝落ち

 時折、ネットでTwitterをやっている時なんかで、落ちる時がある。


 落ちるとは、意識が切れてしまう事で、落ちたと認識できたという事は意識が回復したという事である。


 時たま、思う時がある。


 意識が切れたまま、そのまんまだったらどうしよう。


つまりは、命が果てて、召された状態だが、その時の意識は何処に行ってしまうんだろう。


 目が覚めると、そんな事ばかり、思うようになった。


 意識が切れて、夢も見ずに、そのまま周囲の人間が自分の身体の処理を始めたら、どうしよう。


 一昨年、母親の葬儀をしたが、あれは火葬という名の処理行為の名前でしかないなと思った。


 意識の戻らない個人の意識は何処に行くんだろう。


 やがて、自分は独居老人の一人になるが、火葬は御免だなと母親の骨を見て思った。


 土葬も御免だし、腐乱死体になるのも周囲に迷惑がかかるだけだろう。


 検体として、登録するのも考えたが、それもやがては火葬にされるだけである。


 そのうち、自分の意識を電気信号にして、登録する技術が開発されたら、万々歳だが、それは人間として、個人としてある得るのか。


 こんな考えにあぐねながら、日々は過ぎていく。


 難儀な事である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る