連合


さて、初めて他の国との交渉をする事になりました。

相手はアテーネ共和国という国ですが、その国が加盟しているアジ連合というEUのような組織に所属しており、その加盟国全員と交渉する事になったのです。


初めての交渉…私にうまく出来るかは分かりませんがこんな所で弱音を吐くわけには行きません。今回は村長さんも来ているので何かあったら助けてもらいましょう。それに今回は大事な目的もあるのですから…


「それでは会議を始める。本会議はアテーネ共和国国王代理の私、ブランドが進行させていただく。それではまずは歓迎の食事を用意しよう」

テーブルにたくさんの料理が運ばれてきます。

大皿を用意し、各々が自分の分を取って食べる形式のようですね。それがアテーネ共和国の伝統らしいです。


おー!どれも美味しそうですね♪こんなたくさんの料理は日本以来かもしれません。

テーブルには焼き魚から豚の丸焼き、たくさんのパンなど豪華な料理が並んでいます。

時代が時代なので凝った料理はないですが、ここまで大量の食事を用意したのはアジ連合の歓迎の印という事でしょう。良い人たちですね。


久しぶりにお腹いっぱいに食べてしましました。幸せ幸せ…違います!今日は大事な会議に来たんでした。

「食事を楽しんでもらえたらようで何よりだ」

「ええ。どの料理も素晴らしく非常に感謝しています。この国は豊かなのですね」

「ありがとう、それでは最初の議題だが…何か提案はある者はいますか?」


「それではニポン皇国からよろしいでしょうか。私達は食糧の輸入をしたいと思います」

「食糧ですか。我が国は構いませんが…何を対価にするのですか?」

「我が国は木材を対価としたいと思います。確か我が国と貴国は川が繋がっていましたよね?それを活用すれば安価で大量に輸出出来るはずです」

「木材ですか。それは問題ないですね。アジ連合は最近の農業の発達で人口が増えて、家の建築が続いてますからこちらとしても助かります」

「それはよかったです。それともう一ついいでしょうか?」

「はい。どうぞ」

「ニポン皇国はアジ連合への加盟を望みます」


「なっ…異議あり!スパルタン王国のクロムウェルです。貴国はみたところ食糧の自給もできていない様子。そのような国が加盟したところで負担にしかなりません!」

「我がイスタンブル王国は賛成したいところですが…ニポン皇国は自衛をできるのですか?貴国は少し離れているので何かあった時にしばらくは自力で対処してもらう事になります。自分の身を守れない国は失礼ですが負担にしかならないと思います」


「自衛ですか…。ご安心ください。その点は心配ありません」

「心配ないと言われても貴国にまともな軍事力があるとは思えません。それなりの兵くらいはいるんですよね?」

「兵士は少ないですね。でも我が国には強力な魔法技術があります。アテーネ共和国の外の闘技場を貸してもらっても良いでしょうか?」

「構いません。どうぞ」


ーアテーネ共和国王代理ブランド視点ー


今回はあらたに発見された国との交渉の議長国となった。

今回は国王の具合が優れないとの事で私が全権代理を任されたのだ。

会場で待っていると1人の老人と1人の女性が入ってきた。

入ってきたニポン皇国の皇帝は非常に美しかった。

艶のある銀髪。透き通った青い目。もし街中で出会ったらそのまま告白してしまいそうな可愛さだった。さらに食事が用意されるとニポン皇国の皇帝は非常に美味しそうに食べる。我が国自慢の料理をあんなに喜んでもらえて少し好感度が上がるが…ここは交渉の場だ。私情を入れるわけにはいかない。

その後も雑談をしながら貿易の交渉をした。

とりあえず今回は顔合わせだし、こんなところでいいだろう。

そう思っていたら、ニポン皇国はもう一つ意見があるらしい。

「ニポン皇国はアジ連合への加盟を望みます」

何を言っているんだ?

正直相手の国の話から向こうの国の豊かさは伝わって来なかった。間違ってもまともな軍事力などないとわかる。防衛を我が連合に押し付ける気だろうか?

すぐに私が言うまでもなく、他国の反対の声が上がる。全く呆れた国だ。

しかしなんだあの自信に満ちた目は?

まさか軍事力があると言うのはハッタリではないのか?

すると闘技場を貸して欲しいと言うので了承した。

ニポン皇国の皇帝が闘技場の真ん中で魔術を使おうとしている。

次の瞬間見たこともない大きな炎の竜巻が巻き起こる。

こんな…ありえない!中級魔法のレベルを遥かに超えているではないか…!

「今ご覧になったのは上級魔法と呼ばれるものです。これは一つで30人くらい相手にできると思います」

上級魔法!?そんなものは遠くの大国で最近使える魔術師が現れたとしか聞いたことがないぞ!?

他の国の王も言葉を失っている。

これは心強い味方ができたかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る