第6話 

 あれから一週間。


「無理だよ……お父様!」


 私は苦悶の声を漏らした。

 無理だった。

 普通に無理だった。

 どう考えても無理だった。

 お父様曰く、髪型が特殊だったり、タトゥーを入れている人がいたり、個性的な人が集まっているので実は特殊な力を持っている人たちがいるのかもしれないということらしいのだが……。

 この学校の頭がおかしなだけだわ!

 ただただ、世界で活躍する人間を育てるためどんな見た目の人間であっても差別せず、認められる人間を育てる。

 とのことなのだが、完全にやりすぎている。

 もう何でもありだった。

 まず、理事長がやばかった。

 歯の入れ歯は全てが金。ギンギラギンの装飾類を入れ、ド派手なタトゥーを入れ、金髪ロン毛のかつらを被っている。

 服装もまるでパリコレで歩いている人が着ていそうなド派手な服。

 しかも、それらがうまくマッチして謎に似合っているのだ。

 もう意味がわからない。


「……どうすれば、どうすれば良いの……!」


 八方塞がりである。

 どんなに探しても陰陽師になれそうな人がいないのだ。

 陰陽師は、体の中に流れる力の源である魔素を呪力へと変えて戦う。

 魔素を呪力へと変えるのはとても難易度が高く、普通の人が習得するのは難しい。というか、私ではその人が魔素を呪力へと変えることが出来る素質があるかどうかを見分けるのは難しい。

 なので、私は魔素を呪力へと変えることが出来る素質があるかどうかを見分けることは諦め、戦えるレベルに達している魔素を持っているどうかで判断しているのだが……。

 そもそも戦えるレベルの魔素の量を持っている人がそもそもいなかった。

 体内にどれくらいの魔素の量を持っているかどうかは完全に生まれたときに決まっているのだが、みんな生まれながらに持っている魔素の量が少ないのだ。

 唯一気になるのは私が助けてくれた人だと勘違いしたあの少年。

 あの少年からは一切魔素を感じられなかった。

 赤ん坊でも少しくらい魔素を持っているものだが……。

 タイミングが噛み合わず、あまり関われていない。

 ……どうしよう。

 お父様からの任務をこなせない……。

 私が悩んでいると、スマホが鳴り響く。


「はい、もしもし……はい、はい、はい。え?わかりました!すぐに向かいます!」


 かなり強い魔怪が現れたので、助けに来てほしいとのことだった。

 私はこれでも四大陰陽師家の一つである倉橋家の娘。

 そこそこ強いのだ。

 私は急いで準備をして、電話で指定された場所に向かった。

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