第39話 魔の森の秘密
カイル兄様の私を一人にするとやらかしが増すだろうから、それを監視するためにアリステラ公爵本邸を提案したと言われて、ショックを受けていたが話は進んでいく。
「やはりそうだったか」
国王陛下も納得するのやめてください。
ここは話題を変えよう。
「ルシフェル、先代魔王が魔物を洗脳して、アリステラ公爵家を襲撃したって話だったけど、魔国と魔の森って関係あったりするの?」
「そのことか。この国で魔の森と呼ばれているあの森には、魔国と人族の国を繋ぐゲートがある」
「ゲート?」
「転移魔法陣って言えばわかるか」
『!!』
「この国では、あの森を危険視してきて、あの事件で更に拍車がかかったが、あの森はゲートがあるのと魔素が高い以外は普通の森だぞ」
「魔物はいないの?」
「いないぞ。魔物は、魔国にしかいいないからな。
自力ではこちらに来れないから、高位魔族に使役されたり、洗脳されたりして、ゲートを使い送り込まれない限り、こちら側に来ることはない」
マジか!!普通の森にずっとみんなビビっていたのか。
森から魔物が出てきて襲われた事件が起きたりしたから仕方ないのかもしれないけどさ。
「スノーやグレンは、魔の森で魔獣を狩ってきているはずだぞ。
今まで、外壁で囲われていたから、普通の森の何倍も魔獣がいるからな」
『!!』
外壁破壊しちゃったけど……大丈夫なの?
破壊してから数ヶ月経っているけど、魔獣被害の報告があるって、報告とかないから大丈夫なんだろうけどさ。
「それなら魔獣が森から出てきたりしないの?」
「ああ、大丈夫だ。魔の森は魔素が高いから普通の森に比べて、魔獣の知能が高い。
普通の森の魔獣もそうだがしっかりとした縄張りがある。
しかし、魔の森の魔獣は知能が高いからか縄張り内から離れたがらないから縄張りから出ることはない」
だから、魔獣被害の報告とかがないんだね。
「魔国には、下っ端しか残ってないってことは、魔物がこちらに来ることは、もうないんだね」
「そうだ。アイリスと違い、転移魔法を我でもポンポン使えるわけではないからな。
だから我が魔国に行くのにも使いたいからゲートは、破壊しないで残しておいてもらいたい。
それに残しておくことで、この国にもメリットがある」
危険がないなら残しておいてもいいかな。
ルシフェルもたまには、魔国に戻りたいだろうしね。
「メリットとはなんだ?」
「魔物は魔国にしかいないと言っただろう。
魔物は、魔獣と違い食うことはできぬが、牙や骨、皮などは、強力な武器や防具の素材になる。
魔国にしかいない魔獣もいる」
「なるほど、過激派魔族の選別が済んだら、魔国は誰もいなくなるから、いい狩り場となる。
冒険者などに依頼で狩りに行かせ、素材を確保できるということか」
「そういうことだ。ファミーユにいる魔族たちも狩りをやってくれるだろうしな」
忘れてた!!ファミーユの町にギルド支部設置してもらわなきゃだ。
「国王陛下、区画整備に合わせて、ギルド支部を設置して欲しいです」
「それは国ではなく、ギルド本部に言うことなのだが、私から設置するようにギルド本部のギルドマスターに伝えといてやろう」
「国王陛下ありがとうございます」
これで、魔族やエルフたちも別の仕事を得られるね。
ドワーフたちは、武器や防具作りに熱が入るだろうな。
「アイリス、魔族に冒険者をやらせるつもりか?」
「うん。魔族やエルフは、魔法に長けているから向いていると思うんだよ」
「なるほどな。今まで、魔国で命令されてやっていたことが仕事になり、報酬を得られるわけだな」
何、もしかして今まで 魔族たちは命令だけで、無給でやらされていたのかな。
「魔国では、魔物の討伐とか無給でやらせていたの?」
「我や我に近しい者は、ちゃんと払っていたが、魔族は力が全てだから上の命令には逆らえないから、無給やただ同然の額でやらせていた魔族は多かった」
魔国は、超ブラックなんだな。
それなら喜んでやってくれるかもな。
「そういえば、魔動馬車使われているみたいですけど、生産体制整ったのですか?」
「整った。順調に製造されている。馬車だけでなく、冷凍庫や冷暖房魔道具なども製造開始されている。
販売されるようなったら、錬金術ギルドに登録しておいたから、売り上げの一部がアイリスに支払われるぞ」
マジですか。この前の手紙に契約書があり、カイル兄様が書いて送り返したけど、こんなことになるとは……
用件も済んだので、私たちは、王城からファミーユに転移した。
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