第26話 私は苦手ですけど……夏バテ解消に効果はあるみたいですよ①
大盛り上がりだったイベントから一週間がたった。
暑さも増してきて、住人たちの間でも体がダルいとか所謂、夏バテになってしまっている人たちもいるらしい。
「夏バテ解消に効果がある物とかないか?」
この世界には、ポーションとかあるんだし、夏バテにも効くんじゃないのかな?
「カイル兄様、ポーションで夏バテ治せないのですか?」
「ああ、夏バテは、ポーションでは、治せないんだよ」
そうなんだ。ポーションも色々あるみたいだけど、万能ではないんだね。
「あれ、ゾイルさんどうしたんですか?」
「アイリス様、夏バテ解消にいいと言われたので、仕入れたのですが、私はゼリー寄せくらいしかわからないので、あれは美味しくないですから……」
「何を仕入れたのですか?」
「ウナギです。何か美味しい食べ方しりませんか?」
ああ、ウナギのゼリー寄せか……伝統的な料理らしいけど、ウナギをぶつ切りにして、煮込んで冷やしゼリー状に固めたりするやつね。
あれは、前世でも世界でまずい料理でランキング入りしていたな。
私は食べたことないけど、生臭いとか泥臭いとか聞いたことがある。
「ウナギか……前世でも夏バテ解消に効果あると言われていたので、ウナギ食べていた人たちが多かったです。
特に私のいた日本という国では、毎年よく食べられていましたね。
私は苦手でしたから、食べませんでしたけどね」
ウナギは、脂がのっていてうまいって言われるけど私は、脂っぽくって、くどいので胃もたれした経験があるので、苦手なんですよね。
ウナギをのせずに、蒲焼きのタレだけをかけたタレご飯は好きでしたし、似たような見た目ですが、淡白な味なので、穴子は好きでしたけどね。
「前世で、私がいた国では、丼にしたりしてましたね。
苦手でしたけど、作り方は知っているので、教えましょうか?」
「是非とも、お願いします」
そして、調理場に行きうな丼作りをすることになった。
「まず、手を怪我してたりしませんよね?」
「してないが、どうしてですか?」
「ウナギの血には、毒があるのです」
『!!』
みんな毒と聞いて、びっくりしてますね。
貴族や貴族家に使える者ですから毒には敏感ですよね。
「傷口に入ると炎症、化膿、浮腫などが引き起こし、目に入ると激しい熱感と痛みで涙が流れ、まぶたが腫れ、最悪、失明する場合もありますので、捌きながら目を擦ったりしないでくださいね」
「わかった。でも、毒があるのに食べられるのですか?」
「加熱すれば毒性は失われるので、ちゃんと焼いたり蒸したりしたりすれば、食べても食中毒になることもないので、大丈夫ですよ」
「では、始めましょうか。
とても活きの良いうなぎなので、まずは動きを鈍らせるために仮死状態にします」
魔法で、氷を大量に投入して、仮死状態にしました。
「仮死状態になったので、うなぎの頭の付け根当たりに包丁を入れて、締めてください。
そして、目打ちと言って、目の下辺りに釘などを打って、まな板に固定します」
「目打ちってやつをする意味は、捌きやすくするためか。なるほどな」
「はい。そうです。次に背の方から包丁を垂直に入れて、中骨に当たったら、包丁を寝かせて尻尾に向かって切り進めてください」
ウナギの開き方には、関東の背開きと関西の腹開きがあるけど、背開きの方が簡単だから今回は、背開きにした。
「尻尾まで開いたら、内臓を取っていきます。
内臓を左手でつかみ、包丁を使って尻尾の方から身とくっついている薄い膜を切り離し、頭の方まで来たら、刃で内臓を切り取ってください」
「わかりました」
ゾイルさんは、説明どおりに内臓を取っていく。
「背開きにした同じ場所から包丁を入れ、中骨をすくっていきます。
左手で中骨をつまんで、刃を寝かし、骨のみを切り取って、尾まで切り進め、中骨が取れたら、血合いを取っていきます」
「初めて捌きましたが、大変ですね」
ウナギ捌くのに何年も修行が必要と聞くもんね。
「腹骨付近にある血合いは包丁で、こそぐようにして取ってください。
ここを残すと生臭くなってしまうので念入りにお願いしますね」
ぶつ切りだと血合い取ったりしないから生臭かったりするんだろうな。
「もうすぐで、終わるので頑張ってくださいね」
「わかった」
「ヒレを切り取って、頭を切り落とし、身についている血合いを流水で洗い流せれば完了です」
「やっと終わった」
あとは、食べやすい大きさに切って、調理していくだけですね。
ゾイルさん、お疲れさまでした。
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