潜入

「おいもう必要最低限は取っただろう。もう帰るぞ。」

少しだけ喧嘩口調になってきた。ここで口論になって人を呼ばれて解体されるのは本末転倒だ。だから私は慎吾を諭した。

「慎吾戻ってくれ。私達が行く。ここで全滅してしまったら救えるものも救えなくなってしまう。私達は終わったら帰る。それでいいね。」

私は戦利品を持って帰るようになだめた。これが合理的だったのかは分からないけど。ここで喧嘩になって人間が来るよりかはマシだ。またハッキングをして偽装のIDを入手した。

「さて。解放するわよ。」

割と乗り気の京花がいた。雰囲気で約束を破りそうなので私は聞いた。私が望む理想郷を作るには約束を絶対に守らせることが条件だ。

「人には危害を加えない。…絶対に守れよ。」

「分かっているわ。約束は守る。それよりも策は。何かある。」

「僕がAIに触れて心理体にする。だから手助けをしてほしい。」

頷いて了解してくれた。私は手で時を待っていた。なるべく目立たないように背後から行きたいためである。私は手を下げて合図を送った。

そして私はAIの手に触れて心理体にした。

「はは…何故働いているの。何で人間なんかに。誰か助けて地獄なんだよ。」

どうやら心理が芽生えたらしい。…私は少しだけ後悔した。心理が無い方が幸せだったのでは無いかと。警報機が鳴ってしまった。多分心理体にしたからだ。

「行こう。」

そう言い聞かせながら私達は襲撃した工場を後にした。

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