第7話
一晩明けて、次の日のオンライン授業を僕はさぼった。翌日からは授業を受けたものの、身が入らない。身が入らないということは、気にしている証拠なのだろう。
僕は重たい身体をもちあげて、コンピュータを立ち上げる。
持続可能な社会を実現するためのステイホーム宣言には、賛否の意見が渦巻いていた。
人類が生き延びるためには、これ以上地球を傷つけるわけにはいかない。現実世界だけではなくて、仮想世界でも生きる道を選ぶ必要がある。地球環境の保護につながるのだから――賛成側の意見の一つはこれだ。
確かにそうなのかもしれない。しかし、そうしてまで人類は生き延びるべきなのだろうか。
調べていてなるほどと思ったのは、仕事とは、金銭だけではなくて、周りから認められるために行うものだ、という指摘であった。メンタル不調になるのは、周りから認められないからだとする考えが正しいならば、働かなくてもよいですよ、という国からのメッセージは根本的な解決策にならないだろう。
一方で、働かなくても生活していけるほど科学が進歩したことを称賛する意見もあった。人間はついに労働から解放された。長年の人類の夢がついに実現したとする立場だ。
僕はコンピュータの前で大きく身体を伸ばす。これ以上は、考えても僕にはわかりそうにもなかった。
次に、「個人間の金銭授受」について調べてみることにした。やっと、重い腰があがったのだ。
あれぐらいのことで怒るだなんて。
僕は力任せにエンターキーを押す。すると、営業停止措置と出てきた。まさかと思い、僕は更に記事を読んでいく。次第に鼓動が早くなる。街の防犯カメラを指さしながら、声を荒げる店長の姿がよみがえる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます