雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜
第6話 ヒーラー、このダンジョンをキャンプ地とする
第6話 ヒーラー、このダンジョンをキャンプ地とする
セシリアとたわいもない話で盛り上がり、リザードマンスープも空になってきた頃、空はもう日が沈んでしまい、薄暗い夜へと変わっていた。
ダンジョンの目の前で焚火の火を見ながらぼーっとしている時間が続く。すると、セシリアが口を開いた。
「フール、私たちどこで寝泊まりするの?」
「うーーん……」
今の全財産は0G……まともに国にも入ることすらできないため宿屋にも泊まることができない。だからと言って外で寝るのもセシリアがいるのであまり寝かせたくはない。もちろんダンジョンだけに魔物がいるわけではない。この森に生息するモンスターもいる筈なので寝ている間に襲われでもしたら大変だ。それに天候が急に悪くなって、大雨やら雷やらが降ってきた時はもう絶望だ。雨風を凌ぐことができて、比較的安全で、ただで住めるところと言えば……
考えながら見つめる先はさっき入ってきたダンジョンである。確かに魔物がいて危険かもしれないが奥までダンジョンの奥まで入って行かなければ比較的安全だし、それにさっき入り口近くにいたリザードマンを討伐したんだから近場にモンスターはもう居ない筈である。しかし、問題はセシリアだ。セシリアがダンジョンで寝泊まりする提案に乗ってくれるかどうか……
「なぁセシリア、住む場所決まったんだけど……」
「本当に!! どこどこ??」
またしてもセシリアが尻尾を振り回しながら俺に期待のまなざしで見てくる。うーーん、言いずらい……
「当分そこに住もうと思う」
そして俺はダンジョンの方を指さした。指を差された方を向いたセシリアはダンジョンの方を見て、また俺の方を見直す。
「ほ、本当に言ってるんですか?」
「すまん、金がないんだ」
俺はセシリアに頭を下げるとセシリアが俺に近づき、頭を撫でてきた。
「でも、確かにお金があったらこんなところに長居なんてしてないですもんね。分かりました! パートナーの意見を私はしっかりと尊重したいと思います!!」
「助かる! じゃあ、とりあえずダンジョンに入ろう。奥まで行き過ぎると危ないからリザードマンを倒した手前辺りをキャンプにしようか」
「はい!」
そう言って俺たちは再びダンジョンの中へと入って行く。幸いにもダンジョンの両サイドには松明の火がつけられている。これは冒険者たちが印としてつけていくこともあれば、知恵のあるモンスターがつけていることもある。リザードマンクラスの魔物は知恵があるので火をつけることができてもおかしくないと推測する。
そして、リザードマンを討伐した付近までやってくると俺たちは荷物を下ろし、キャンプを作る準備をする。大体簡易キャンプに必要なものは鞄の野宿道具の中に一式揃っていた。
まず、丸く畳められた素朴な柄の敷物をゴツゴツとした硬い石造りの地面に敷く。そして、敷物の上に鞄の容量を取っていた荷物を広げる。すると、なんとなく拠点のように見えるキャンプ地点ができた。テーブルとかあったらちょっとはそれっぽく見えたりするかもしれないがそんな大きなものを持っている筈がない。
「まぁ……家具みたいなものは無いけど最初はこんなもんか。もし、ダンジョン内でもらえる家具があったらもらっていこう」
「そうだね。ふぁわ~~……眠くなってきた……」
セシリアが大きな欠伸をする。ダンジョン内なので外の様子は分からないが多分もう寝る時間帯だろう。俺も確かに眠くなってきた。
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「ねぇ、フール。明日はここのダンジョンを攻略しない? もちろん、無理はしない程度にさ。もしかしたら魔物が良い装備品とか隠し持ってるかもしれないし!」
「そうだな、じゃあ明日はここのダンジョンを少し探索してみるか」
「うん!」
明日からセシリアとこのダンジョンをキャンプ地としつつ、ダンジョン攻略に向けて探索を始めることに決めた。
だが、その前に心身共に疲労したこの体を安い敷物の上で癒すことにする。
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