第2話戦い。

(二)


「ブババババ!ブババババ!、カキン、カキン、カキン」


「えっ?なになに?急に?」


「今、これ、戦闘に特化したタイ型宇宙人のレーザー銃を太郎が釣り竿型ライトセーバーで撃ち返したところね」


「戦士になったの?!」


「ブババババ!ブババババババ!カキン!カキン!カキン!――で、ここで大きくジャンプして軍団の背後に廻り込むのね」


「軍団?」


「で、ツリザオ・セーバーがビュヒョンッてトアミ・セーバーに変わって、タイ星人を一気に捕えるワケ」


「投網だからね」


「『これが!絵にも描けない美しさだ!!』って、」


「いや、その決めゼリフはどうよ」


「『太郎さま!』」


「誰か出て来た」


「『大丈夫だったか?カンムリ』」


「……カンムリって誰だっけ?」


「『ともに地球を出て早や幾星霜。お前には心配ばかり掛けさせているな』」


「ああ、あの亀女ね」


「『私は大丈夫です。ですが、もしも太郎さまの身になにかあったら、このカンムリは、このカンムリは……』」


「いい娘じゃん」


「ドシンッ!ドシンッ!ドシンッ!」


「え?え?今度は何?」


「大地を揺るがす黒い影が地響きと共に現れたのであった!!」


「お前、楽しそうだなあ」


「『な、なんだ?この地響きは?』

 『た、太郎さま、あ、アレを!!』

  ダカダンッ!!

 『銀河漂流!ウラシマン!!』」


「キャッチまで入った」


「で、CM明けは巨大ロボットが姿を現すシーンから始まるの」


「スポンサーいるんだ」


「『あ、あれは……』

 『知っているのか?カンムリ』

 『古の大昔、その凶暴さ故この星の地下深く封印されたと云う汎用ヒラメ型血戦兵器

  ・ヒラメゲリオン!!』」


「その名前は大丈夫なの?」


「ドシンッ!ドシンッ!ボホホホホホホ!!

 『きゃあっ』

 『カンムリ!!くそっ、くらえ!!トアミ・セーバー』

 ババッ、ババッ

 ――これは、ヒラメゲリオンのAなんとかTなんとかフィールドでセーバーが弾かれる音ね」


「ATフィールドな」


「『ダメだ!このままでは皆やられてしまう』

 『いいえ!手はあります!!』

 ――と言ってカンムリが黒い箱を取り出すのね。

 『これは?……』

 『ステーションを出る際、オーガナ姫から頂いた多聞天ボックスです』」


「出たーー!!」


「『多聞天ボックス?そうか、これさえ開けば!!』

 ――で、ここで太郎がボックスを開けようとするんだけど、その手をカンムリが止めるワケよ」


「なんで?」


「『地球人の体にこの多聞天ボックスは危険過ぎます』」


「おじいさんになっちゃうからね」


「『しかし、』――って太郎が躊躇してると、突然カンムリが太郎にキスしてくるワケだよ」


「なんで?!」


「『今、我々亀族の生命エネルギー「カメハマンネン」を太郎さまに注入致しました』

 『……カンムリ?』

 『どうか太郎さまの……私たち二人の、新しい地球を……探し出して下さい!!』

 ――で、小脇に多聞天ボックスを抱えてエ……ヒラメゲリオンの方に走って行くわけ」


「どっかで見たようなシーンだな」


「で、ドドガーン!!って大爆発が起きて、粉々になったヒラメゲリオンのパーツと一緒に、彼女の甲羅の一部も太郎の所まで飛んで来て、

『カンムリーー!!!!!』って叫んだところで、次週予告だよ」


「続くの?!」


「どう?熱くね?!」


「いや、熱いって言うか暑苦しいけどさ……なに?結局地球は破壊されたままなの?」


「ああ……いやあ、それは、最終回まで観て頂かないと」


「……全部で何話?」


「七十八話」


「長いよ!!」


「面白いぞ?」


「いやあ、」


「DVD貸そうか?」


「そこまでじゃないよ」


「そうかあ?」


「じゃ、じゃあさ、いつか必ず全部見るから、取り敢えずオチだけ……って言うか、地球がどうなったかだけでも教えて」


「そう?……でも、やっぱりそこに至るまでの七十七話があってこその、」


「いいから教えろ!」



(続く)

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