005 狼狩団《ウルフバウンズ》

「う、うわああああああああああああああああああああ!!!」


漆黒の死神ダークネスサイス』のシャドウとその下っ端の男はそう叫びながら俺の目の前から物凄いスピードで走り去ってしまった。

僕は自分の持つ『龍神族の剣』を見ながら、これは使い方を練習しなきゃなと思った。


「あ、あああ……う、うそ……」


ギルドの方を見るとミーナさんが口をあんぐりと開けて目を見開いて僕を見ていた。


「あー、ごめんなさい、うるさくしちゃって…へへへ」


こういう時は素直に謝るのが一番だ。剣を自分の後ろに隠して、誤魔化す。


「あ、あな…た、何もなの……?」


「へ?僕ですか?ただのD級冒険者の14歳の男の子ですよー?」


「い、いや…もう、そんなレベルじゃ………」


ミーナさんが震えて立っていたので剣を『異次元の道具箱』にしまってミーナさんの手を取る。


「本当に、ごめんなさい…ミーナさん」


「こ、こちらこそ…助けてくれて、ありがとう……」


ミーナさんが顔を赤らめながら僕を見つめていた。

見つめられたら笑顔で返すのが流儀なので、ニコッと笑顔で返す。


「ぽ……」


「ミーナさん?」


「はゃあ!!い、いや!!な、何でもないわ!!あ、あははは!」


僕から手を放して何やら焦っている様子だ。

どうしたんだろう?


「お、おい今のなんなんだよ?」「この坊主があの連中追い払ったのか?」


騒ぎを聞いてギルドから何人か冒険者たちが出てきて辺りを見て驚いた表情をしていた。


色々聞かれると面倒なので、他の人には適当に誤魔化しておいた。


と、そこにガランさんが帰ってきた。


「おーーい!待たせたな!」


「あ、ガランさん!」


ガランさんは『狼狩団ウルフバウンズ』のメンバーを引きつれて来ていた。


「どうしたお前ら、こんな外に出て。なにかあったのかミーナ?」


「え!?わ、私にきくの??え、えーと?」


ガランさんが何が何やらと頭に?マークを浮かべている。


「ミーナさんをナンパしてきた人たちに、僕がダメだよ―って教えてあげたんだ!それだけだよ!」


ミーナさんがタジタジなので、僕がフォローする。


「なに?ウィルが?ほう!それはすごいな!これからの依頼も心強い!ハハハハハ」


「い、いや…ガランさん…もう、この子S級以上の実力が…」


ミーナさんがガランに聞こえるか聞こえないくらいの声言う。


「ん?ミーナ何か言ったか?」


「あ、いえ、なんでもないですぅ……どうせ言っても信用してもらえないし…」


ミーナさんとアイコンタクトをして、このことは黙っておこうということになった。


「さ!パーティーも集まったことだし!早速任務に行くか!!ウィル!」


「はい!よろしくお願いします、ガランさんに、『狼狩団ウルフバウンズ』の皆さん!」


「「「おうよ!!」」」


こうしてガランの他にパーティーメンバーの3人屈強な男たちに挨拶をして僕らは街を出た。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る