第11話 「幽霊」

乗り換え先の列車に向かう途中で、ミカリとクルチアは女子中学生らしき集団に補足された。 5~6人の娘がきゃあきゃあ言いながらミカリとクルチアの後を付いて来る。


「あんなにカッコいい人、見たの初めて」「もしかして伝説の スパダリ?」「ありうるー」


(へへ、カッコいいでしょ)


ミカリを褒められて鼻高々のクルチア。 だが、彼女は優越感に浸りきれずにいた。


(コロリ無しでこれなら、もっと良かったのに...)


ミカリがクルチアを愛するのはコロリゆえ。 クルチアは不正な手段でミカリを手に入れた。 それが彼女の幸せの足を引っ張っていたのだ。


         ◇❖◇❖◇❖◇


女子中学生の群れは、まだ2人の後を付いて来る。


「ねーねー、さっきからずっと彼の隣を歩いてる女ってさ、恋人なのかな?」「えー、やっぱりそうなの?」「釣り合ってないよね」「私のほうが華奢で可愛い」「わたしもー」


彼女らはクルチアを見下し始めた。 だがクルチアは無視した。 彼女は19才で年上だし、ミカリを手中に収めてもいるから。 だが...


「なんであんな女と付き合ってるんだろうね」「せっかくのイケメンなのに」「もったいない」「ねーねー、イケメン・コロリを使ったのかも」「うわー、ありそ~」「やだ、えぐーい」


女子中生の会話が危険な方向に進み始めるに及び、クルチアはくるりと後ろを向き威嚇した。


「あんた達、さっきからうるさい!」


クルチアに一喝され、女子中学生の群れは蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。


そして、後に残されたのは桜色のワンピースを着た小柄な女の子。


ミカリの家からアミハマ駅へと向かう途中ですれ違った女の子だ。


         ◇❖◇❖◇❖◇


(あれ? さっきの女の子。 どうしてこんなところに?)


ワンピースの女の子は女子中学生の群れの後ろを歩いていたのだろう。 その群れが四散してワンピースの女の子が残った。 それは分かる。 だがワンピース娘はアミハマ駅とは逆方向に向かったはず。 それがどうしてこんな場所に...


クルチアが驚くうちに、ワンピース娘は後退ずさりして逃げ出してしまった。


「ねえミカリくん、今の子って...」


ミカリはうなずいた。


「アミハマ駅に向かう途中ですれ違ったよね」


彼の目には興味の光が灯っている。


「どうしてこんな所にいるのかしら?」


「思うんだけどさ、幽霊じゃないかな?」


「つまらないこと言わないで」


「つまらなくないさ!」だって幽霊なんだよ?


ミカリは結構オカルト好きだった。


「私たちは列車を乗り継いで長い距離を移動した。 なのに、またあの子と会うなんて、とても妙だと思わない?」


「普通じゃ考えられないよね」幽霊ぐらいしか考えられない。


幽霊幽霊とうるさいミカリを無視して駅の時計に目をやると、列車が出発する時刻が近づいている。 クルチアはミカリの手を取って歩き出した。

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