第1章 覚醒~脱出 2 目覚め 2
二旬ほど前に、唯一の家族だった母様を亡くした事で精神的に不安定だった処へ、襲撃者から母様の形見を取り返そうと飛び掛かって、逆に放り投げられて頭を強く打った事。
前世の記憶を思い出したのは、此れが原因でしょうかね。
前世では忙しい両親に代わって、お爺ちゃんに育てられた様なものだから、今世で母様に愛され甘えられた記憶には、胸が詰まって思いが溢れてしまいますね。
母様が神殿の崩壊に巻き込まれて傷だらけで運び込まれてから、枕元で泣きながら声を震わせていた私を、母様はずっと慰めてくれていたのに・・・
あぁ 母様は最期まで私の事を心配して、手を握って下さっていたのに・・・・・・
・・・考え方は前世に寄っていても、感情は今世のセラに寄っているからね、意識しないと冷静に考えるのも大変ですよ。
島への襲撃があったのは、母様が亡くなった後、しばらくたってからでしたね。
住民達は抵抗の構えで、私の様な子供達は女性達と一緒に脱出させられたのだけれど、
待ち構えられていたらしく混乱の中バラバラになり、捕まったという訳。
その後、母様の形見を奪った相手に飛び掛かったのは無謀だったと思いますけど。
でも私の様な幼女からペンダントを奪い取るなんて酷いよね。
しかも飛び掛かった私を銃で殴り飛ばすなんてね!
こうして私達が住む浮島ラートラム島は占拠されたらしく、子供達が拐われている最中と云うわけですけど・・・
みんなはどうなったんだろう?
待ち構えていた襲撃者は女子供にも容赦がなくて、みんなパニックになって逃げ惑ってしまった。
マリのお父さんを始め、こちらの大人達も徹底抗戦みたいな雰囲気だったし大丈夫なのかな?
今世で前世と一番違うのは、住んでいるのが空に浮かぶ浮島という事ですね。
正式な名称はイーオナイトと言ったと思いますけど、通称で飛行石と呼ばれる物が在るみたいで、その力で浮いているのだとか。
有名なアニメのようですね。
襲撃されたのは神殿が崩れてラートラム島の高度が下がったからだと、私を連れて逃げていた母様の付人のトーラさんが言っていました。
はぐれてしまったけどトーラさんも大丈夫なのかな?
実はトーラさんが強い事は知ってるんですが。
拐われた私達はどうやら空飛ぶ船かなにかに乗せられてるみたいです。
飛行機の様な速さは感じませんから飛行船でしょうかね。
一部屋にまとめて囚われ、手鎖で壁に繋がれているのは、囚人の護送みたいなんだけど。
さっき見回した処では十歳以下の子供達だけの様で、どうにも不穏ですね。
まあ、みんな顔見知りと云うか、遊び仲間のお姉さんお兄さんだから、ホッとしてもいるんですけどね。
ガチャリと、部屋の扉が開く音がした。
目を開けて扉の方を見ると、外から射し込む光の逆光の中現れたのは濃い色合いの軍服を着た兵士達でした。
賊ではなく軍隊が幼児達を拐っているって、やっぱり不穏ですよね。
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プロローグ2
ここまでの経緯。
敵は軍隊。
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