第2話 再開
4月から始まった学校も喉元過ぎればなんとやら。
見渡せば既に何組かのグループができていた。同じ中学出身の者、席が近い者、女子達の集まり、男子達の集まり。
そんな中、私の周りにいるのは前者の方の集まりに近い。中学が一緒で高校も一緒というならまぁ普通だよね。
だけど小学校から同じクラスの奴らが私を含めて4人も一緒って今年で何年目?
「絶対! 何か仕組まれてるよね!?」
「
「あらあら、頭でも打ちましたか?」
「かおる、
「誰が元々おかしいのよ!」
心配してるのか面白がってるのか、よく分からない事を言ってるのは、私の腐れ縁というかなんというか……まぁいわゆる幼馴染。
「あぅ〜1人でも厄介なのに〜、どうしてまた貴女達と一緒なのよ〜」
唸る私に悪友の1人がいやらしい笑み。
「雪音は駄々っ子ねぇ? どうしたんでちゅか? なでなでしてあげましょうか?」
やけに私を子供扱いする女は
雉ノ宮財閥のご令嬢でお金持ち!
頭がいい!
顔がいい!
スタイルがいい!
だが腹黒い!
最後さえなければ完璧美少女なのにもったいない。でもまぁ正直今の性格の方が私は好み……ちょっとムカつくけど。
誰にでもペコペコするような奴は私はあまり好きじゃないし、なよなよした奴も好ましくないかな……今のところは。
正直言うと咲葉は弄ってくるのはムカつくけど居たらいたで落ち着く的な存在。後の2人は……まぁ説明めんどくさいし後でいいよね。
キーンコーンカーンコーン
チャイムと共に担任の先生が入ってきた。
「は〜い! 皆さんおはよ〜!」
おはようございま〜す!!!
と元気な返事をしているのは男子共だ。
「相変わらず色気やべぇ」
「まだ結婚してないんだよな? ワンちゃんあるか?」
「ねぇだろ」
男子達に混じって私も先生を凝視する。先生をというか先生のある一部分を。
おっぱい大きいなぁ。
いいなぁ。
一体何を食べたらああなるの?
私はそんな事を心の中で思っていた。
「フフ……雪音は貧乳」
どうやら声に出していたらしい。
キッ!
っと隣を睨んだら顔を埋めてクスクス笑ってやがる。人のコンプレックスを笑ってるこの子も幼馴染の1人。
「入ってきていいわよ〜」
ん? そういえば、今日は家庭の事情で入学が遅れていたクラスメイトが来るんだっけ?
――ガラガラ
入ってきたのは男子生徒。
線の細い印象に右目が隠れるように流した感じの黒髪の男の子。
身長は私と同じか少し高いくらいかな?
厚着してるからわからないけど体格は良さそう。
ただ、私は少し違和感を覚えた。
なんというか……アンバランスな感じがした。
詳しくは分からないけど体は大きいのに顔は小さい? 左右のバランスが悪い? そんな感じで彼を見つめていると、不意に彼と目が合ってしまう。
じぃ――っ
とお互い見つめていた時間はそんなに長くは無かったと思う。だけど次の瞬間には目を疑う事になる。
ポタッ
彼の瞳から一筋の雫がこぼれ落ちたから。
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