2012年4月9日(月)

2012年4月9日(月)


母親が「蛍火の杜へ」を借りてきた。

原作者及びアニメスタッフが夏目友人帳と同じため、食指が動いたらしい。

よく考えると、うちの家族はほとんどが夏目友人帳のファンである。

うにゅほに限っては作品それ自体より、ニャンコ先生が好きなだけ、という節があるけれど。

内容は緑川ゆきらしく、妖怪ものだった。

人に触れられると消えてしまう妖怪と、人間の少女の交流を描く。

夏にしか会えない妖怪に、少女は恋心を抱いていく。

触れたい、と願っていく。

切なくて、優しい物語だった。

画面が暗転し、エンドロールが流れたとき、うにゅほは泣いていた。

絨毯の上に置かれた手が、なにかを探すように動いた。

俺の指と、うにゅほの指が、軽く触れた。

指先が絡んで、繋がれた。

俺たちは互いに触れ合えるのだ。

当たり前のはずのことに、感謝したくなった。

エンドロールが終わり、DVDの宣伝が流れるころ、背後から視線を感じた。

ソファに腰を下ろした母親と弟が、意味ありげな視線をこちらへ向けていた。

うっせーお前ら泣いてたの知ってるんだからな!

鼻すする音とか聞こえてんだからな!

まあ俺もうるっときたけど!

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