2011年11月27日(日)

2011年11月27日(日)


夕方、旅行から帰ってきた。

うにゅほへのお土産は、鳥をデザインした塗り箸にした。

特に名産というわけでもない。

うにゅほが家に来てから一ヶ月、家族になった証のようなものをあげたいと思っただけである。

案の定、うにゅほはとても喜んでくれた。

なにをあげても喜んだとは思うけれど、どこへ行くにも箸をグーにして持って歩くさまを見ると、これにしてよかったという気持ちが去来する。

夜になり、富良野に住んでいる伯父が泊まりに来た。

うにゅほは人見知りである。

刷り込みのようなものか、俺にはすぐに慣れたけれど、いまだに父親と話すときは怯えた様子を見せる。

それが初対面の伯父であればなおさらだ。

「は……はじめ、まして……」

と言うのがやっとで、すぐに俺の背中に隠れてしまった。

あまりよい印象ではないだろうと思ったけれど、伯父はさほど気にしていなかったようだ。

夕食は寿司だった。

けれど、うにゅほは俺と背中合わせに座ったままだった。

あまり行儀はよくないが、うにゅほの好きな甘エビとホタテを中心に、小皿に取ってあげた。

うにゅほはあの塗り箸を使って、不器用に寿司を食べているようだった。

うにゅほの体温を背中で感じながら、思った。

だんだん慣れていけばいい。

ただ、箸の正しい使い方は、早めに教えようと。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る