詩集 故郷を燃やされた少女は、一人で復讐へ立ち上がる

仲仁へび(旧:離久)

第1話 燃え上がる里の中で



「慣れ親しんだ里がなくなる日がくるなんて、思ってもみなかった」


 真っ赤な炎に包まれている

 全てが灼熱で彩られる

 あぶられるような赤の色が

 強烈過ぎて 心まで溶けていきそう


――私達は絶望で膝を落とした


――暴れまわるならず者達


――彼等は笑う 嗤う 


「なぜ」 「どうして」


――疑問に答える者はいない


「逃げて」 「逃げろ」


――走り回る人達は


――自分と近しい者達しか見ない


 危機は人を変えていき

 優しさを奪い

 余裕をなくし

 平静を欠けさせる


「分かって」 「理解して」


「見捨てないと、私が助からない!」


「行かないで!」 「おいていかないで!」


 やっと 足をすすめる けれども


――追いついてきたのは 人の形をした悪魔


――死をもたらすだけの死神 失わせるだけの略奪者


「走れ」 「走れ」


「追いつかれるぞ」


 必死に生を求めるけれど


 ああ 一歩 ついに 力が及ばなかった


 そんな人たちがすぐ後ろで倒れた


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