第23話 ~仲~
僕は野良だ
好きに覗く
好きに遊ぶ
今日は住宅街を歩く
ポテポテと当てもなく
ゴミ置き場や人間のお庭を
塀を歩きながら眺める
穏やかだなぁ
楽しいなぁ
僕は上機嫌で住宅街を歩いた
今日に限って見知っている人はいない
まあ、そんな時もあるよね
獲物を追いかけたくなった僕は
川べりの草むらに行く事にした
涼しいし丁度いい
またポテポテと歩き始めた
住宅街を土手に抜けて
カフェの横を通って
川べりの草むらに来た
相変わらずキラキラしている
獲物はいるかな・・・
気配を探していると
草むらの中に人の足が見えた
仰向けになって足を組んでいるのか
右足がプラプラと上下に揺れている
んんー?
物音を立てないように
ゆっくりと草むらに隠れ
足の正体に近づいてみた
白いシャツに学ランのパンツ
投げ出すようにあるバッグ
どうやら男子学生のようだ
何やらスマホをいじっている
おー、なんかしてるー
音楽を聞いてるのか
イヤホンをしていて
鼻歌を歌っている
なんの歌だろう
そして たまにブツブツと
呟いている
「こっちの表現がいいかな」
「この書き方・・・?」
なんだろ?
邪魔しちゃいけないと思い
草むらに隠れて様子を見る
なんか楽しそうだなぁ
不思議に眺めていたら
上の方で可愛い声がした
「お待たせー!」
ブレザーにチェックのスカート
女子学生が走ってきた
スカートをヒラヒラさせて
息を弾ませている
そして満面の笑みで
学生くんに近づいていく
んお!?
僕はもう興味津々で
二人を眺めた
学生くんは起き上がって
学生ちゃんに手を振る
「今来たとこだから大丈夫」
「わあ、息きれぎれw」
「急いで来たのよー!」
「掃除当番でさー」
わいわいと盛り上がる2人
「今、これ書いてた!」
「んー・・・いいね!」
「でも、ここの言い回しが・・・」
「こう直すと発声しやすいか?」
「そうだね!」
すごく盛り上がってる
どうやら物書きをしてるようだ
とても盛り上がってる二人の肩が
こつんとぶつかった
二人同時に顔を上げ
すこし照れあっている
んー?んんん?
少し離れて照れながら
またスマホを見ながら喋る
えええええ!?
おかしいでしょ?
今のはもっと
くっつく流れでしょ!?
僕は思わず
甲高く鳴いてしまった
びっくりしたように
こっちを見る2人
あ、やべ・・・
あ、あはは
ごゆっくりぃ~
逃げ出そうとしたら
学生ちゃんが近づいてきた
「猫がいるよー!」
わあー!ごめんねー!
邪魔するつもりじゃなかったのー!
あたふたする僕を
学生くんも見に来た
「おー!黒猫だー!」
「ホーリーナイト!」
はい?ホーリーナイト?
「あの歌みたいに」
「幸せを届けにきた?」
え?なにが?え?
「もう・・・あるでしょ?」
「私が、いるでしょ?」
「え・・・うん、そうだな」
「ふふ・・・///」
んー
なんか分かんないけど
アツいねぇー
ではでは
またねーーー!!!!
2人の邪魔にならないよう
僕はそっと離れた
お幸せにぃ!
僕は黒猫だ
影で見てるだけ
そして幸せを運ぶ
運べたことは無いけど
幸せを見るのは好き
2人とも幸せに
過ごすといいなぁ
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