野良猫の独り言
哉子
野良猫の独り言
第1話 ~誓~
僕は野良だ
好きな所へ行くし
好きに振る舞って生きる
生きる為なら
騙しもするし
可愛いこぶるし
喧嘩もするし
仲良くするし
僕は自由で 僕は独りだ
けれどひとりだけこの僕が
主様と認める人間がいる
人間や仲間にボロボロにされて
皆は遠巻きにそれを眺めて
可哀想と心無い声
その中で しかめっ面をしながらも
手を差し伸べてくれた人間だ
綺麗な手をしているのに
僕を乱暴に抱き上げた
細い目で僕を刺すのに
どこか暖かいんだ
「汚い」
「不細工」
「好みじゃない」
「でも面白いな」
「嫌いじゃない」
貶し言葉が降りながら
暖かな助けが降りてきた
毎日話すあの人の想い
「生きろ」と何度も願ってくれた
でも猫を飼うことは
とても とても 大変だ
主様は辛そうだ
僕は負担になっていたんだ
毎日甘えて 擦り寄る僕を
追い払う事ができないんだ
悪魔のくせに
興味がないくせに
不器用なくせに
優しいんだ
僕を好きになろうと頑張ってた
だから僕は 野良のまま
ひとりぼっちのままでいるよ
主様が辛い時は
遠くで見守るよ
主様が寂しい時は
傍に寄り添うよ
主様が苦しい時は
愛を持ってくるよ
それしかできないから
邪魔はしたくないから
僕は黒猫だ
災いを持ってくるけど
幸運も持ってくる
いつか僕は幸運になって
主様に富をもたらすよ
だから
苦しまないでね
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