第95話 難航フラクと言われる”迷宮の杜”ダンジョン

ハヤトファミリーは難攻不落の”迷宮の杜”ダンジョンに挑んでいる。


ファミリーには前日知り合った元エルフ近衛騎士団長クリエラも加わり、10階層のボス部屋をドリスが踏破して今まさに宝箱を開けようとしているところだ。


ラッティーが罠などを確認して、慎重に開けると、その中にはラッティーがはめている『シールドの指輪』と同じ物が入っていた。


ハヤトがねんのため【鑑定】をすると、”全ての魔法攻撃、打撃攻撃、スキル攻撃を防ぐシールドをつくりだし、指輪を嵌めている人間を守る”と出ていた。


これを今必要なクリエラに嵌めてもらって、常に魔力を流し込んで、常時発動してもらうことにする。


「ハヤト様、私はきっと皆様ほど魔力量が多くはないので常時発動には魔力が枯渇してしまうかと・・・」


「大丈夫、この指輪は少量の魔力で発動するのでクリエラさんの魔力でも1日中シールドは保てますよ」


クリエラもシールドを発動して、11階層に向かって歩き出す。


11階層はアンデッド系の魔物のようだ。


死臭のする暗い洞窟が続き、前方から目が赤く光るスケルトンの集団30体がわさわさと湧き出てくるようにやってくる。


セリーヌが『連射の弓』に聖魔法、【浄化】を掛けて30本の矢を解き放った。


矢はスケルトン全ての眉間を打ち抜き【浄化】魔法に依って全てが霧となって消えていった。


更にミイラとバンパイアが数十体押し寄せてくるがここはラッティーが【ファイアスプラッシュ】で焼き切ってしまう。


11階層の最深部にはデーモンが薄笑いを浮かべ、【闇魔法】を放ってくるが【シールド】がそれを全て跳ね返してくれている。


ハヤトがデーモンを【結界】で閉じ込めた後、【結界】を豆粒ほどに小さくして、『亜空間(サブスペース)』に入れて消し去った。


12階層は【石化の魔眼】を持つメデューサがいる。


「みんな、メデューサの目を見ないでね」とハヤトが注意喚起する。


セリーヌが離れたところから『連射の弓』に爆発力大の付与魔法を掛けて矢を解き放ちメデューサの眉間を撃ち抜いた。


矢は眉間を撃ち抜くと物凄い爆裂音と共に、メデューサの頭を木っ端微塵に粉々にして殺した。


13階層にはガーゴイルが8匹いる遺跡跡地だ。


「ガーゴイルに噛まれると毒が回って最悪死ぬと言われているけども、噛まれたら私か旦那様に言って!【キュア】するから」とセリーヌが言うが、そもそも全員がシールドを掛けて戦うのでその心配は無いようだ。


ドリス、アレン、ガードマンは剣で首と羽を切り落としていく。


ラッティーも両手に『魔剣炎のだがー』と『魔剣風のダガー』をもって羽と首を切り落とす。


クリエラは体術でもって、ガーゴイルの腹に正拳を叩き込み、風穴を開けて葬っていく。


セリーヌとハヤト等は出る幕ない感じであっという間にガーゴイルの死骸が回収された。


クリエラが「やっと私でもお役に立てました」と笑顔でセリーヌに言ってくる。


「クリエラ、それぞれ得意分野が違うからそれ程気にしないで、本当は旦那様ひとりでここをあっという間に踏破できるのにわざわざ皆のスキルアップのためにやってもらっているのですから」と気にしないように伝えた。


14階層には不死鳥フェニックスがいた。


燃えたぎる炎を身にまとい周りの空気の水蒸気が一瞬で蒸発するほどだ。


ここはハヤトが【絶対零度(アブソリュートゼロ)】魔法を放ちフェニックスの炎と力比べをする。


フェニックスが次第に氷漬けにされて動かなくなった。


ハヤトはつかさず『魔石師』のスキルを発動させ、フェニックスの魔石を【スチール】して手元に赤く輝く大きな魔石を手に奪った。


このまま【次元集のボックス】に収納し15階へと向かった。


15階層は大きな扉がそびえていて、ガードマンが押し開けると、頭と尻尾が2つ有る双竜が炎を吐いている。


攻撃レベルがLv10000とバカ高い数値だ。


勿論常人の冒険者レベルでの話で、ハヤトファミリーのレベルは全員新加入のクリエラを除いてこれよりも遥かに上なので問題ない。


銀龍が出たがってハヤトの肩で羽をばたつかせているが、「銀龍が出てしまうと素材が残らないから、ここはセリーヌの弓とガードマン達に任せようよ」とハヤトがなだめすかしておとなしくさせる。


セリーヌが双竜の4つの目を目掛けて『連射の弓』を放ち目を潰した後に、ガードマンとアレンが双竜の尾の攻撃を躱しながら二人同時に飛んで、首を切りおとした。


双竜の2つの頭が地面にドスンと転げ落ちる。


落ちた直ぐ側に宝箱があり、慎重にラッティーが開けた。


中には『天使の靴』”自由に空を飛ぶことが出来、身体強化を掛けずに【瞬足】の動きが可能”と出ている。


ハヤトはこれをクリエラに履いてもらうと、彼女の足サイズにピッタリと収まった。


「クリエラさん、頭の中で飛翔と念じてみて、宙に浮くと思うよ」


クリエラはハヤトに言われた通り、頭の中で”飛翔”と念じるとふわりと体が浮き、”更に上へ”と念じると更に上に上がり”横に移動”と念じると横に飛べるようになった。


「これでクリエラさんも、【シールド】と【飛翔】の魔法を発動出来る用になったね、それじゃこのダンジョンコアを持って1階に戻ろう」


ハヤトファミリーは転移盤に乗って、入り口へと戻って行く。


ハヤト達に殺意を抱いていた7人の人間はボス部屋にあの後入って出てこれないのか出口には衛兵しかいなかった。


フラメルの冒険者ギルドに戻り、素材置場にダンジョンで討伐した魔物とフラメルまでの道中で刈り取った魔物を全て出し終えて納品書ができるまでギルドの食堂で4人でお茶を頼んで待つことにする。


「クリエラ、今後エルフの里に戻って近衛兵に再び就くの?」とセリーヌ。


「いえ、出来たら一旦エルフの里に戻り両親の墓に報告したら冒険者として今後を送るつもりでおります。ついてはお願いなのですが、ハヤト様のパーティーに身を置かして頂けませんか?ファミリーの一員として未だまだ修行が足りませんが努力して足を引っ張らないようにがんばりますので・・・」


「旦那様、私からもお願い出来ますか?」


「クリエラさんなら直ぐにランクは上がるだろうし、問題ないよ」とハヤト。


「それじゃ、クリエラ、私達もエルフの里まで同行して一緒に墓参りして帰りましょう!とセリーヌがハヤトに同意を求めた。


ハヤトも、うなずいて、先ずはエルフの里に行きご両親の墓参りをすることにした。


納品書も出来上がり、受付にダンジョン内地図と、ダンジョンコア、それに納品書を添えてカードを出した。


遂にオルバル帝国、難攻不落の”迷宮の杜”が踏破された。


このニュースは帝国内にあっという間に広がり、帝国騎士がフラメルを訪れたときにはハヤトファミリーは既にいなかったが・・・。


清算金は莫大で白金75枚、金貨34枚、銀貨58枚、銅貨98枚となってハヤトのカードに貯まっていった。


ハヤト達はフラメルで少し遅めの昼食を食べ、北東に車を勧めてノルディー帝国の街、オスビッチという街に向かって車を走らせていた。

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