第72話 キース獣人国の首都モルディナ

ギゼーの冒険者ギルドで狼人族に絡まれて実力の一端を見せてしまったが、ワイバーン3頭の討伐依頼を達成し、ギルドから宿に戻ってきた。


ハヤトは食堂でボスノーさん達が降りてくるのをセリーヌと二人で待っていると間も無く3人が降りてきて、夕食にする。


夕食はマナバイソンのステーキに野菜サラダとパンにスープがついてそれなりに美味しかった。


食事を終えてボスノーさん達は明日の準備があるのでとすぐに2階に上がり作業を始めている様子だ。


ハヤト達は街を見て回ったのでセリーヌと二人で部屋に戻りお茶を飲んで時間を潰しながら頃合いを見てベッドに二人で入り込んで意識を投げ出した。


翌朝朝食の前に朝練をいつもの通りして5人で朝食をとりモルディナに向かって車を走らせて行く。


ギゼーからモルディナはさほど距離もなく『万能乗用車』で80キロの速度で入り口近くまで来て【隠蔽(ハイド)】魔法をといて衛兵に冒険者カードとボスノーさんが商売をする商人ギルドのカードを見せて首都モルディナに入った。


歩く獣人達が珍しそうに『万能乗用車』を見ているがスルーしていつもボスノーさんが泊まる宿に向かった。


幸い宿も空いていて、ボスノーさんご夫妻とジュリエッタさんが3人部屋にハヤトとセリーヌが二人部屋を1週間抑えることができた。


未だお昼前なので、取り敢えずボスノーさん一家が開く魔道具屋の場所に向かう。


彼らがいつも訪れて出店を構える場所は横幅が4メートル程奥行きも4メートル程の小さな小屋が20軒程たらなった出店専門の商店街で道の両サイドに同じ数だけ

仮小屋が連なり、全部で40店舗程だがしまっている店もそれなりにあって30店舗ほどの店が色々な商売をしている。


ボスノーさんの小屋は商店街の入り口付近に近く3店目の小屋なので商売的には良い場所なのではないだろうか。


この小屋の賃貸は聞くとびっくりするほど安く1日銅貨50枚だという。


「ええ、そんなに安いのですか?それなら頑張って売れば店舗代なんて目じゃないですね!」とハヤトが吃驚していう。


「でも、魔道具は比較的売れるので良いのですが中古の本屋とか、ガラクタ市的な

古道具を売ったりして売り上げが銅貨3枚とかの日もある店では結構プレッシャーがあるようですよ」


そんな話をしながらボスノーさんと奥さんが店先に品物を置いて行く。


一番の売りは3張りの『マジックテント』のようだ。


その周りに『炎の魔剣』3本と『氷の魔剣』3本とボスノーさんの所から持参したマジックアイテムの耐熱、耐物理、を付与したマント2着。


このマントは5000度程度の熱であれば耐えられて、ドラゴンの鱗の粉を満遍なく使った糸で作り込んで魔物の牙や剣では通らない優れもののようだ。


その横には『魔法のカップ』として僅かな魔力で永遠に水が湧き出るコップを並べた。


奥の空いている所にはオリハルコン製の剣10本、ミスリル製の剣5本、オリハルコン製のダガー10本を用意し、その他アダマンタイト製の盾で耐魔法を若干付与して置いていった。


準備が出来た所でボスノーさんが食事に行きましょうと奥様を留守番に置いて行こうとするので、「ボスノーさん、この小屋ごと【結界】を張って誰も入れないようにしておきますので皆で昼食を食べてから商売を始められたらいかがですか?」


「この小屋ごと【結界】を張れるのですか?できるのであれば5人で食べてから仕事を始めたいと思います」といい、ハヤトは【結界】を張って近くの定食屋に食べに皆で行った。


「ボスノーさん、夜になったらお店の物はその都度しまって宿まで持ってくるのですか?」


「はい、今まではその都度馬車を借りて宿まで持って来ましたがこれからはハヤトさまに頂いたマジックアイテムのストレージが有るのでこれに入れて帰れるのですごく楽です」


「それでは私が夕方【結界】をかけに来なくても大丈夫ですか?」


「ええ、わざわざ来ていただかなくてハヤトさまはここに来た目的を存分達成してください」


「それとハヤト様、きょうから朝食と夕食の時間はそれぞれお店のこともあり特に夕食は何時になるか分からないのでお互いバラバラに宿で食べるということにしましょう」と奥様が言ってくれた。


ハヤト達も「クエストなど受ける場合は朝早く出ることも有るので今日から1週間はそれぞれの家庭ごとに動くということにしましょう」と伝えた。


昼食を終えて、ボスノーさんの店に寄り【結界】をといてから、


「僕らは冒険者ギルドのクエストを受けてみることにします」と言って宿に向かい、ドリス達と5人で冒険者ギルドに向かう。


獣人国首都のモルディナの冒険者はそれなりに大きくクエストの掲示板も件数を多く張り出すために結構な大きさだった。


昼過ぎなので面白そうなクエストはないだろうと眺めていると王様関連の護衛依頼が出てた。


内容をよくみると明日朝出発で西海都市のウエストバリー迄皇后と王女に執事と侍女4人の往復の視察を2泊3日の護衛任務と書かれている。


未だクエストが残っているということは面白そうなので受けてみるかとハヤトがセリーヌに聞いてみる。


「騎士団も付いて行くでしょうに何で未だこれが残っているのか不思議ですね!」

と言いながらも「獅子族の皇后と王女って面白そうだから受けましょう」と賛成してくれる。


2泊3日で金貨70枚となかなか良い値段だ。


受付にこのクエストを剥がして持って行くと犬人族の受付嬢が、「5人の冒険者カードをお出しくださいワン、えええ、ランクがSSにSSSですかワン?魔法は使えますよね?ですよねワン!これは魔法が使える人を必ず入れてくれとの王様からの願いですワン」


「騎士が3人に他の冒険者パーティーが3人ですワン、明日この冒険者ギルドに

7時集合で8時出発でお願いしますワン!」


「わかりました」そう言って、今日受けられるクエストがないか見たがこれというものがないため一旦宿に行き、明日から3日間の宿をキャンセルすることにした。


4日目に戻って来て再び2泊か1泊お願いしますと伝えてボスノーさんのお店を手伝いに行く。


お店の方に行くと結構混み合っていて、テント3張りはもうすでに売れて『炎の魔剣』3本と『氷の魔剣』3本もすでになかった。


『魔法のカップ』も人間族の冒険者が喜んで買って行き、今日だけでこの出店の売り上げ5年分を売り上げたとボスノーさんは大興奮だ。


ハヤトは、宿に戻って、テントをあと5張り、『炎の魔剣』5本、『氷の魔剣』5本を作って来るとボスノー夫妻に言ってセリーヌと急いで宿に戻った。


2階の部屋に上がり『マジックアイテム創造ボール』の生活ボタンを押して念を込めながら魔力を流しテントを作り出す。


中の【次元空間魔法】を付与して、開くと【結界】が付与されるようにして、あと4個のコピーはハヤトの【モデリング】で作り込んだ。


次は『マジックアイテム創造ボール』の武器というところのボタンを押しながら念を込めて魔力を流すと最初に炎を纏う『炎の魔剣』ができ、同様に4回ボタンを押して計5本の『炎の魔剣』の完成だ。


同様に『氷の魔剣』も作り出してコピーも4本作り出して完成させた。


『魔法のカップ』も作ってみようと『マジックアイテム創造ボール』の生活のボタンを押して念を込めながら魔力を流して押すとコップが出て来て、実際に魔力を少しコップに流すと水がコップいっぱいに満たされた。


同様にしてあと2個を作り出した。


セリーヌをみると旅の疲れかベッドで寝息を立てて寝ているので起こさずボスノーさんの出店に『炎の魔法剣』5本『氷の魔剣』5本、『マジックカップ』3個

『マジックテント』5張りを持って行った。


「ボスノーさん、追加で魔剣5本づつ、テント5張りとマジックカップ3個を持って来ましたので早速並べてください」とボスノーさんに言った。


ジュリエッタが慌てて店に並べて行くとお客が待ってましたとばかりまずテントがあっという間に5張り全てが売れてしまう。


続いて『炎の魔剣』『氷の魔剣』も噂を聞きつけた冒険者たちがこぞって買いに来てあっという間に5本づつ計10本が売り切れた。


その様子を見ていたハヤトは再び宿に戻って魔剣を10本ずつ作り、テントも10張り作ってカップを5個作り込んでセリーヌと夕食を食べるのだった。


夕食を食べ終えてセリーヌとハヤトは『炎の魔剣』10本、『氷の魔剣』10本、『マジックテント』10張りを持ってボスノーさんの出店に置いて来た。


ボスノーさんには、店に並べる際一度に出さず2本ぐらいずつ置いて売った方が良いと伝え、明日から3日間いませんがよろしくと伝え、宿の主人からキャンセル料は夕食時にくれる旨伝えた。


ハヤトたちは明日の護衛勤務を考えて早めに二人で寝て、翌朝は早く朝食を食べて

『万能乗用車』でギルドに向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る