kissを求めて
長い廊下を歩き、ついに風呂に到着する。
「お嬢様……お召し物を脱がさせていただきますね」
ロザリーがとても近い。脱がされていく時にこちらの負担にならないように少し近づいたり離れたりする時に微風と共にロザリーの良い匂いが鼻腔をくすぐる。
もうこれ抱きしめちゃっても良いよね? そう思い俺はロザリーが近寄った瞬間に抱きしめた。
「お、お嬢様? ど、どうかなさいましたか?」
あー、仕方ないよね。あんなのもう襲ってくれと言っているようなものだったし(言ってない)
抱きしめるだけで我慢している俺、凄くない?
しかし抱きしめてしまったその後の事を考えていなかった。どうすれば……。
そうだ! 脱がしっこしよう!
「ロザリーの侍女服を私が脱がせてあげようと思ってね」
「お嬢様が私の衣装を? そんな恐れ多い」
「まぁまぁ、良いから、良いから」
どこかの悪徳監督のような言い回しで俺は彼女の衣装を脱がしていく。
これもう実質コスプレを脱がしていくイメージプレイじゃない?
スルスルと衣装が床に落ちる音がまた風情を出している。エロの。
全てを脱がせ、その全容を凝視しているとロザリーは赤く染まりモジモジし始めた。
ついメロンを見すぎてしまったか。お互いが全裸になっている事もありもう一度抱きしめて置こうかな。
俺は自分の胸をロザリーの豊満なおっぱいに押し当てて腰に手を回す。
これキス出来るんじゃね? 行くか? 行かぬのか?
「此の道を行けば どうなるのかと 危ぶむなかれ 危ぶめば 道はなし ふみ出せば その一足が 道となる その一足が 道である わからなくても 歩いて行け 行けば わかるよ」
清沢哲夫 『無常断章』「道」より
俺の頭の中でこの詩が流れる。これは聞いた事がある人もいるんじゃないだろうか。アノトキの此木が座右の銘にしているこの詩はこちらが元なのだ。
アノトキの此木は一休さんの詩と思ってたみたいだけどね。
なぜこの詩が頭に浮かんだかと言うとそれは勿論、勇気を出すのか出さないのか、行動する必要の大切さ、そして何よりも挑戦の先にある確かな成長。
今ここでキスをするという事は俺にとってそういう事なのだ!
「お、お嬢様! このままではお風邪を引かれてしまわれます」
ロザリーはそう言うと、やんわりと俺から離れてしまった。
くっ。悩んでいる間に! 決断が遅すぎた! 感覚的にはいけたというのに!
『いやまだだ。まだやられはせんよ』俺の脳内がまだチャンスはあると訴えている。
そう……キスは失敗したが……
次は洗いっこを目指すのだ!!
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