悪役令嬢にTS転生した俺が貴族の力で百合ハーレムを目指したら、婚約破棄目前なのに別の王子や貴族令息から口説かれる。いやそれ俺目線だとBLですから~。

うし。

絶望は楽園に

 既に転生しているので前世の詳細を説明する必要はないだろう。


 宝くじにも当たった事がない俺が、なぜか乙女ゲームの世界に転生していてしかも俺の大事なポークビッツ……いや言い間違えたわ。


 俺の大事なフランクフルトが消失していた。そう、影も形もなかったのだ!


 まだ新品で綺麗だったのに綺麗さっぱり無くなっていて、代わりに金色の毛が生えていたでござる。


 俺は泣いた。一晩中泣いたよ。


 

 「付いてないんだな」


 「アソコなんて飾りです。モテる人にはそれがわからんのですよ」


 脳内で覆面を被った人とその部下が俺の飾りの話で盛り上がっていた。


 まだ飾りだっただけで、使う機会はあったかもしれねーからっ!


 一晩中泣きはらして俺は思った。


 

 『賢者タイムのない百合も悪くないんじゃね……?』


 女子がBLを好きなように、男は百合が好きだ。


 なんだろう。女の子同士。なんか綺麗じゃない?



 俺は鏡を見る。前世で妹がしていたゲームの悪役令嬢が映っている。瞼は泣きはらして腫れぼったいが、それは見なかった事にして全体をみる。


 髪を一房すくいとり、暗い夜空に向かってフワリと靡かせれば、月の光で輝いて星々の煌きにも負けない傷一つない金糸のような金髪。


 碧眼の瞳は大きくて、肌はまだ誰にも踏まれていない新雪のように白い。


 誰が見ても文句なしの美人がなんと今の俺である。



 そして何よりこの美女には権力があるのだ! ばーん!!


 後1年もすれば、学園の卒業パーティで今までの悪行を婚約者の第一王子に暴露され婚約破棄の後に修道院へ送られて、凌辱死亡エンドまっしぐらなのではあるが、このまま引きこもりフィードアウトすれば社交界に出れなくなったとしても死ぬ事はないのでは?


 寧ろ社交なんてしたくない。権力を使って侍女や町娘とイチャコラしたい。男性相手でもないから不貞ともきっと言われないだろう(白目)




 「お嬢様は大丈夫かしら」


 「婚約者に学園で冷たくされたようですからね……。何でも王子が男爵令嬢の肩を持たれたとかで。王族でなければ、上位貴族に対する暴挙が許される事ではないのに」


 ドアの向こうで侍女たちがヒソヒソと何やら俺の事を話していた。


 昨日……それはまだ前世を思い出す前の話だが、公爵令嬢である自分の婚約者に対して、ある男爵令嬢が気軽に話しかけた上にあまつさえ、肌に触れるという淑女にあるまじき暴挙をしたために、わたしは公然とそれを批判して断罪した。


 すると何故か婚約者の第一王子がその男爵令嬢の肩を持ち、逆に王族の会話を遮った不敬だと言ってこちらに責があるという事になったのだ。


 そしてそのショックで俺は自分の前世を思い出したという訳だ。







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