その15 幸男から見れば……

 「幸兄、こないだも敏兄の家泊まったんだよね?」

片田舎にある宮田兄弟の実家で、幸男は妹、志保に問われる。

「ああそうだけど」

「敏兄のいる街にはビジホとかもあるのに幸兄いつも敏兄の家に行くじゃん。あれなんで?」

「だって金もったいないから」

「それだけ?」

志保に詰められる幸男。幸男はそれに耐えられず本音を語る。

「……兄ちゃんが心配なんだよ。一人暮らしで、連絡も少なくなったし」

「幸兄やっぱりお兄ちゃん子だよねぇ」

「志保には関係ないだろ」

幸男は志保から目をそらす。

「兄ちゃん背ぇ小さいし童顔だし、ちょっとドジだしで余所で舐められたり騙されてないか心配になってしまうんだよ」

「そう? 敏兄、そんなドジじゃないでしょ。地元の友達とか結構まともな人多かったよ?」

「いやなんというか……」

幸男は戸惑った顔を見せる。

「兄ちゃんがなんか、可愛く見えるんだよ」

「は?」

志保は幸男の発言の意味がわからなかった。

「なんで? ていうか幸兄もそっち路線なの?」

「いや僕は多分違うよ。でも兄ちゃんなら……まあいいかなって思う時があるんだよ」

「まあって何よ」

幸男は少しながら敏郎に魅力を感じていた。

「小さくて可愛くて、なんか最近色が白く見えて、尻もでかいような」

「もう言わないでよ」

志保は幸男に呆れる。

「あーどうしよ。アンナを推すのに忙しいのに、兄ちゃんのことが気になるなんて」

「知らないよもう」

幸男の言動に志保は萎えて黙るのだった。

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