第7話 敵影
周囲は赤く染まった視界から見えた景色は、次々と天からの光線に狙い撃ちされる乗客たちの姿だった。
見たこともない悲惨な状況に、心臓の鼓動が速まる。
「落ち着け。ミサ」
その聞き覚えのある声は、父の声だった。
途端に私の心臓の鼓動が静まっていく。
「お父さん?」
光線が振りそぞく中、身を挺して、私に覆いかぶさったのは、私の父親だった。
白髪混じりの久しぶりにあった父親は、黒い軍服を着ていて、家族に見せていた表情とは違う雰囲気を感じた。
「俺の目を見ろ。目を合わせて、ゆっくりと、焦点を合わせるんだ。
焦らなくていい。今、他の外の景色を視界に入れずに、俺だけを見るんだ」
父は、私の肩を掴んで、そう問いかける。
「いや、お父さん。もう大丈夫だから」
「えっ?」
私が、そう軽くあしらうと、父が寂しそうに、こちらに顔を向けた気がするが、私は構わずに周囲の状況を確認する。
「ミサ」
アリスの声が聞こえる。
グレーボヴィチさんが近くにいてくれたおかげで、隣りにいたアリスも無事なようだった。
私は、ほっと胸をなでおろす。
そして、視線を移す。
目の前の惨状へ。
焦げ付いた匂いを急に認識し始める。
木製部品、樹脂部品が焦げた匂いの中に、頭皮や肉の焦げた匂い、血生臭さが漂う。
その匂いに、私の気管が反応する。息を止める。
これを嗅いではいけないと、体が無意識下で反応をしたようだった。
脳の視野角の映像が、惨状の結像を拒否しているかのように、映画館のスクリーンで映し出されるレンズ視野角くらいに視界を制限する。
ただまっすぐ。
狭い視界の中で、私は歩き出した。
1歩ずつ。歩き始める。
時折、列車が軋む音と、肉塊が床に落ちる音が混ざり合い、血溜まりを踏みつける音は、私の足音と重なって、表現される。
数秒前には、ヒトが座っていた席は、シートごと高光度の熱線に貫かれ、蜂の巣のような状態になっていた。
一見、無作為とも思われる、その光線の軌道は、明らかに私達の方ではなく、マサトくんがいた場所に向かって、集中砲火をされていたようだった。
しかし、今となっては、どの程度の弾数だったのか、知る余地はない。
なぜなら
「危ない。」
私の腕を、力強く父親が反射的に握る。
「正気に戻れ。崖から落ちるぞ」
そう。マサトくんがいた列車の一部は崩壊し、撃ち抜かれた列車が走る大地とともに、抉られ、山間部の谷間へと吸い込まれてしまったから。
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斜面を転がり落ちる。
周囲の状況が理解できないほどに目まぐるしく視界が回転する。
今、自分がどんな状態になっているか理解できないまま、足先が木の根っ子に捕まり、勢い良く、体を地面に叩きつけられた。
頭がグラグラする。
ドーパミンが出ているのか、痛みに先行して、意識だけが動く。
自分が倒れているであろう。地面を眺め、その水平線の先にある人影を認識する。
エルブルース駐屯基地の北半球ゴリドア山脈・紛争撲滅部隊所属の上等兵。
ヒイラギの姿だった。
仰向け状態で体を動かしている気配が感じられなかった。
数メートルの距離で横たわっている彼女の状態を確認するために、鉄仮面の中で、視線を誘導し、
徐々に、彩られた視界が熱源情報と、心臓の周波数に焦点を合わせた透過情報へ変化する。
脈拍は正常で乱れていない。動脈の流れも異常値はない。おそらく、自分と同じ打撲程度で済んでいるであろう。
体を動かさないのは、なぜだ。
頭を打っているのか。状態を把握しようと、意識を傾けたとき、ヒイラギの声が聞こえた。
「覗いてんの。バレバレよ。」
鉄仮面に接地している額から骨伝導で彼女の声が聞こえてくる。
身体の向きはそのまま、ヒイラギは、こちらに目もくれずに話を続ける。
「あなたも、たいして怪我してないんでしょ。私が、無事なんだから、無事なはずよね?」
彼女は、声のトーンをそのままに、さらに声を潜めて話をすすめる。
「それより、聞こえる?何か物音がするの。おそらく、列車が走っていた山側とは、反対方向。森林の方向。」
そう言われて、周囲の環境音に耳を傾ける。
茂みが風に揺られ、ぶつかり合いカサカサと音を立てている。しかし、その隙間に、わずかに違和感のある金属音が鳴り響いていることに気づく。
音の間隔を数えて距離は数十メートルと行ったところ。ぎりぎり目視で確認できる範囲に思えた。
鉄仮面に映し出される味方のGPS情報は同じ方角からは確認できないことから、味方以外の勢力であることが推測される。
敵がどんな装備を身に着けているかは定かではない。が、グレーボヴィチ教官からは、感情を潜めよ。と、訓練生時代に教わったことを思い出す。
敵は、感情のゆらぎを検出する装置を持っていると。
しかし、疑問はつきまとう。
エルブルース駐屯基地の北半球ゴリドア山脈・紛争撲滅部隊。
それは、先ほどまで走っていた列車が、無事にエルブルース駅に着いたその先。
駐屯地の区域を抜け、ゴリドア山脈という天然の要塞の外側で戦う部隊のはずだった。
敵は、この天然の要塞を抜けることができず、自分たちはあくまで、撲滅のために圧倒的に有利な状態で進軍をしているはずだった。
はずだったのだ。
しかし、あきらかに、先程の攻撃は、内側で起きた出来事であるが故に、悩みを生じさせる。
この音は、敵なのか?
先程の攻撃はどこから発射されたものなのか?
今のこの状態で、敵が居ないという判断をすることができなかった。
何か、異常事態が起こっているように思えた。
これから向かう予定だったエルブルース駐屯基地はどうなっているのだろうか?
もしかして、天然の要塞はすでに突破され、エルブルース駐屯基地は攻略され、
敵が間近に迫っているということなのか?
エルブルースへ向かう道中のはずだったこの地点で、いったい何が起きている?
軍は、どこまでこの事態を認識しているのだろうか?
冷や汗を掻かないまま、思考はぐるぐる回る。
ヒイラギの潜めているはずの吐息も、鉄仮面越しに伝わってくる。
今、判断を間違えれば、命は無い。
僕は、ゆっくりと携帯している拳銃を取り出して、構える。
鉄仮面が標的と思われる熱源に向かって、照準を定める。
と同時に、
茂みから、白銀の腕が覗いたその時だった。
瞬きも許さないその一瞬に、一発の銃弾を白銀の腕から推測される心臓の位置に打ち込んだ。
ドサッと、倒れる音がしたかと思うと、先程見えた白銀の腕も一緒にその場に倒れた。
ほっと、息をついたのも、つかの間、茂みの周囲には真っ赤な血ではなく、緑色の液体が地面の傾斜に沿って、流出していた。
先程まで、仰向けになり、空からの攻撃を監視していたヒイラギも、起き上がり、この光景を目にして、愚痴をこぼす。
「私達は、何と戦っているの?」
その色は、自然界にはよく存在している色だった。
針葉樹の葉のような、少し、暗い緑色。
ねっとりとした粘度の高い液体。
エネルギーと思われるその液体は、白銀の身体からドロドロと流れ続ける。
"人類は今世紀で戦争行為を撲滅することに成功し、残すは最後の紛争だけとなった。"
僕達は、何と戦っているのだろう。
人類以外の何か?
段々と冷え込んできた、寒暖差が激しいこの地域で、何と戦っているのだろう。
これから越えようとしていたゴリドア山脈を眺めると、雪をかぶっているのがわかった。
ふと、その粘度の高い液体が、あぶくを吹いた気がして、思わず僕は、横に手を伸ばす。
「っ何よ?」
突然、目の前に手を出され、動きの静止を求められたヒイラギは驚いて、声を上げる。
「いや、何か。動いた気がしたから」
急な出来事で、心拍があがる。
何か、得体のしれないものを見てしまっているような予感がした。
先程まで、流れなかった冷や汗が鉄仮面の中を伝う。
僕が、さらにその液体の様子を確かめようと身を乗り出したとき、今度はヒイラギが僕の動きを静止した。
意識だけが先導し、身体がついてこない浮遊感に違和感を覚える。
僕の体がそれ以上前に、動かないのは、ヒイラギが僕の腕を掴んでいるのが原因だった。
「ちょっと、待って。あんた。珍しく、脈拍が乱れているわ。」
ヒイラギは鉄仮面越しにフフッっと笑みを浮かべているのがわかった。
その仕草に、数秒の時が流れる。
「こんなときに、茶々を入れないでくれ。」
僕は、後ろに控えるヒイラギに言う。
緑の液体は流れ続ける。
白銀の腕から先の胴体はというと、茂みに隠れているせいで、目視することが難しい。
「腕。離してくれないか?」
僕は、一度掴まれている部分を見やったあとに、ヒイラギを睨みつける。
「ごめん。ごめん。あの。。」
また、不思議な間をおいて、ヒイラギが話し続ける。
「さっきは、ごめんね。いきなり殴りかかっちゃって。。その。ちゃんと謝ろうと思ってたんだけど、ちゃんと話せるタイミングが無くて。」
少し、表情をうつむかせながら、ヒイラギはボソボソ喋る。
ヒイラギの集中力は完全に切れていた。
極度の緊張状態で無理はないが、僕はため息をつく。
そして、返事もせずに捕まれた腕を取り払う。
「えっ。ちょっと。」
突然の行動にヒイラギが驚いたような声を上げる。
僕は一歩前に、進むと、さらにヒイラギが声を上げる。
「あっ、あんた。絶対モテないわよ。。。。なんで、無視するのよっ」
それより、今は、敵の状態を確認することが先だ。
茂みをかき分けると、敵の全貌がみえてきた。
ヒト型の全身が白銀の胴体。
胴体は人間の皮膚ではなく、金属製の軽量ボディ。軽く腹のあたりをノックすると、空洞になっているのか。空の空き缶を叩いたような音が広がる。
「なに、そんな驚いたような顔してるのよ。あんた、見たことないの?」
えっ。その言葉に僕は、思わず声を上げる。
「これは、エルブルース駐屯基地で、よく見かけるし、なんなら、都市部では、うろついてる。。よ?」
でも、壊れてるのは、見たことなかったなぁ。ヒイラギは、ブツブツつぶやきながら、僕の隣にしゃがみこんでコンコンとノックをして、遊んでいる。
「でも、君、得体を知らないものを見たようなことを言ってたじゃないか。」
「それは、あんたが見たことなさそうな、反応してたから。ちょっと面白そうだなって思って。」
ヒイラギはクスっと笑うと、自らの鉄仮面を外し、僕の慌て顔を見て喜んでいる。
性格が悪いやつだ。
僕も落ち着きを取り戻して、鉄仮面を外す。
スクリーン越しではないせいか、何か彼女の表情に違和感を感じる。
「なに、こっちジロジロ見てんの」
「いや。」
僕は、思わず、うろたえる。
「再会の仕方が悪かった。さっきまでの君は、鬼のような形相だったから。」
「はぁ?」
やや、ヒイラギの眉が釣り上がる。
この眉だ。この細くて整えられた眉。
列車でいきなり、殴り掛かってきたときもそうだった。
前髪にかかって、よく見えないこともあるが、なにか不機嫌なことがあると、表情に現れる。
敵が感情のゆらぎを検出する装置を持っているのに、よくこんな戦場を生きて伸びれたものだ。
「ムカつくわ。せっかく、謝っってんのに。いつまで、その透かした顔続けてんのよ。」
ヒイラギは、ずっとしゃがんでいるのが疲れたのか、緑の液体が流れていない綺麗な地面を見つけて、座り込む。
「久しぶりに会えたと思ったら、全然、面白くない。」
ヒイラギは、そっぽを向き始める。
身勝手な奴だ。
「そういえば、エルブルース駐屯基地見かけるって、もともと何をするための機械なんだ?」
僕は、間をつなげるためにヒイラギに話しかける。
「なにって、よくある作業用機械よ。家事の手伝いとか、装備の運搬。まぁ、こんな物騒な武器まで持つようになったとは、思わなかったけど」
ヒイラギは、倒れているヒト型の機械に視線を落とす。
ずっと見ていた、腕の反対方向の腕には、僕達とは違う形の銃が握られていた。
銃の形状に違和感を覚えて、僕は、ヒト型の機械から銃を奪い、グリップを握ってみる。
やはり、何も反応しなかった。
指紋が認証され、安全装置が解除される機構がついているはずが、何も反応しない。
アナログな銃身を操作する解除方法。
旧式の銃だった。
いつか、グレーボヴィチ教官が訓令兵時代に話した言葉を思い出す。
「感情を持っている人間が、感情を無くせたとしても。
感情を持っていない人間から感情が生まれることはありえない。
故に感情を持っている人間が戦場において、
感情を持っていない人間に勝つことは、ありえない。」
感情を持っていない人間とは、なにを指した言葉なのだろうか。
感情を持っていない人間は、それを強さの源泉として、感情のゆらぎを測定する装置を持っている。つまり、敵味方が判別できる機能を持ち合わせている。
僕達が、この山脈の天然の要塞を越えた奥地で戦おうとしているのは、ひょっとすると、こんな鉄くずなのだろうか。
だとしたら、なぜ。
こんなにも苦戦を強いられている?
「将棋やチェスの駒を進めるとおりに、戦局を選択し、勝利を導かなくてはならない。」
そう言ったグレーボヴィチ教官の険しい表情を思い出す。
「いいか。
これは、最後の紛争だ。
感情を持たない民との、最後の戦争だ。
我々は、毒を飲み、毒を持って、奴らを制す。」
人間にとって大切な感情を失ってまで、守ろうとしているものは、何なのだろうか。
「ヒイラギ。」
「急に、なによ。ずっと、考え込んで、いきなり。」
手持ちぶたさに、前髪をいじるのを止めて、こちらを振り向く。
「列車を襲った。白い光線。あれは、なにか知ってる?」
そう、それが引っかかっていた。
僕が、今の状況に危機感を感じたきっかけは、あの白い光線に攻撃を受けたことがきっかけのはずだ。
それがきっかけで、この状況に存在しているヒイラギ以外の対象を敵だと思い込んだ。
「知らないわ。私も見たことない。というか、どこから攻撃を受けたのか気になって、あれからずっと上空を監視していたけど、敵影は確認できなかったわ。また、空から撃たれたらひとたまりもないし」
「見たことない武器だよな?」
「ええ。でも、そうやって決めつけるのは、安直すぎるわ。そもそも、私達、上等兵と一等兵じゃ。開示される情報が少なすぎる。敵の新兵器なのか。味方の新兵器なのか検討もつかない。」
そう、大義だけ聞かされていた。
人類のために戦っていると。僕達は、そのために争いを。
眼の前のことに集中するために、今世紀で戦争行為を撲滅したはずだった。
「ヒイラギは、なんのために、この列車へ?どうやって、この列車に来た?」
「なんの為にって。グレーボヴィチ教官も居たんだから、この列車で何が起きたかは、知っているはずでしょ?」
「あぁ。感情の傾きが生じた者がいた。列車内のどこかはわからない。もしかすると、途中で下車した可能性はあるし、乗車しながら、潜んでいた可能性もある。」
「そうよね。網膜のセンサーでどこまで、検知できるかはわからないけど、見つけて始末するように命令を受けていたわ」
「ここへは、無人浮遊器官で来たわ。ちょっと、見た目気持ち悪いけどね。ヒトに優しい機械というのも考えものだわ。まるで、赤ん坊扱い。」
ヒイラギは、表情を曇らせる。
「列車はどうして、あそこで急停止した?」
「うーん。それは、犯人を逃さないためでしょ。エルブルース駅の近くだと人が多すぎて、拘束もしづらいし、逃げやすい。というかそれ、グレーボヴィチ教官にも同じこと聞かれたわ」
ヒイラギは、偶然の一致がそれほど面白かったのか、クスクス笑い出す。
あの白い光線は、まるで無差別殺人を行っているかのように見える。
感情が傾いたもの片っ端から、正確に始末していくようなものだ。
これがもし、敵の攻撃だとしたら、状況はかなり良くない。
敵の空軍が山脈を越境し、制空権を広げていることを意味する。
少なくとも、エルブルース駐屯基地は、軍事基地のために確実に狙われる的となり得る。
これがもし、味方の攻撃だとしたら。
おそらく、利益を得られるものは限られている。なぜなら、軍人の多くは、感情のゆらぎを抑制する訓練を受けているし、殺害対象は、感情が揺らいだ乗客の誰か。もしくは、パニックにより感情が揺らいでしまったもの。ということになる。
軍の内部の勢力争い?なのだろうか?
だとしたら、派手にやりすぎている。
一般の乗客まで巻き込んでいるし、必ず、事件は外に漏れる。
必ず。感情が傾いたものを始末しないといけない理由があったのか?
ターゲットがたくさんの乗客に紛れているために、軍が取り逃す。そんな事態に備えた後方支援だったのだろうか?
疑問は尽きない。
ふと、ヒイラギの横顔を眺める。
会うのは久しぶりだ。
短くまとめた、ショートヘアはいつもと変わらない。
その何かと突っかかってくる態度も変わらない。
訓練生時代からの変化点といえば、星3つの勲章を胸元につけたことだ。
上等兵。僕より一つ上の階級。
同期のよしみでこんなにも、親しく接しているが、本来なら指揮命令系統や責任の範囲は彼女のほうが上だ。
「ヒイラギ上等兵。ひとまず、安全は確認できた。次はどうする?」
僕がそう問いかけると、ヒイラギはこちらに振り向いて答える。
「上等兵?さっきまで、そんな言い方してなかったわよね?あなたからそう呼ばれると、なんだか鳥肌立つんだけど」
ヒイラギはキョトンとした表情を浮かべてから、クスっと笑う。
そして、転がり落ちた斜面を指差して言う。
「とりあえず、あんな高さ登れないんだから、救援待つしかないでしょ」
ため息をつきながら地べたに座る。
「どうせ、またあの、無人浮遊器官で帰るんでしょ。あー、気持ち悪い」
ヒイラギは、間を埋めるようにつぶやく。
そう言われて、列車の近くに止まっていた無人浮遊器官の様子を思い出す。
真っ白な翼に、胎盤のような収納装置を取り付けた運搬用機械。
発達した生体摸倣だった。数世紀前の鉄の時代に比べると、その割合は減ったように思える。
重い金属は、軽い強化繊維プラスチックに置き換わり、なるべく動力を必要としないエコシステムに入れ替わり、自動車のボンネットのように比較的、柔らかい金属で衝撃を守るという考え方は、細胞で作った外骨格と筋肉細胞群に置き換わった。
ヒトは生物から学んだ。多細胞生物は、長い自然淘汰の歴史から、最適解を学んでいる。
何度も死ぬことを繰り返し、取捨選択を迫まれ、時代に適合したものだけが生き残る。
僕達の今の姿は、数世紀前の人間からは、どんな姿に映っているのだろうか?
科学の発展により、人間の残虐性を司る殺人因子
対人的な過度な干渉を恐れ、いつまでも埋まることのない心の距離を維持し続けている人類を。
「あ、あのさ。さっきは」
ヒイラギがそう言葉を発したとき、明るかった視界が急に暗い影に包まれた。
全身をぬるっとした感触が覆い尽くす。
粘液と思われるものが、まとわりつき、露出した肌は冷たい感触を覚える。
自分の髪の毛が逆立ったかと思えば、足が宙に浮き、浮遊感に包まれる。
重力を感じて、間違いなく、回収作業をされているのだと、推測する。
ヒイラギが発した言葉を思い出す。
気持ち悪い。
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近況ノートにコラムを書き始めました。
ぜひ、フォローしていただいて、読んでいただけたら嬉しいです(*^^*)
久しぶりの更新になってしまったこと、お詫びいたします。
修羅場に向けての準備段階だからこそ、丁寧に書きたいという気持ちで、遅くなってしまいました。。
これからも楽しんでいただけると嬉しいです。
引き続き応援よろしくお願いします(´;ω;`)ウッ…
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