10話 抱きとめて
ツインテが真っ赤になると、私の
これはツインテの人格・
その名が示すとおり、
そんで、突っ込んでくるリーダーさんを受け止める!
ボフッ。
さっきまでやってた巨人の炎が逆流して、いまの私は半分、
勢いを後ろへ逃がし、抱きしめるかたちで、しっかりリーダーさんを受け止めたッス。
「火力を上げるぞ」
落ち着いた口調で魔彩が言うと、私の身体から金色の炎がゴオッと燃え上がり、残った
空中での続きで、翼端から羽が焼け落ちているッスね。
元の半分以下からのスタートだし、焼き尽くすのはすぐッス。
「……」
リーダーさん、私に抱きしめられたまま動かないッス。
「これで終わりだ」
寄生した翼魔さんを完全に排除すると、金聖魔法の炎は消え、魔彩も「用はすんだろう」とばかりに引っ込んだんで、ツインテは
そして私の身体も戻ったッス。
あったかいッスね。
リーダーさんの体温が感じられるッス。
「なによ……、なんでよ……、なんで私たちを消していくの……。私たち、何か悪いことをした?」
呟くように言うリーダーさん。
「いや、あなたたちは何も悪いことをしてないッス」
私は冷静に答える。
「だったらなぜ、みんなを消したのっ」
顔を上げて言うリーダーさんッスが、その目からは涙が流れていたッス。
「
「……」
「春美ちゃんは親に人生を決められるのに反発して、初めて自分の意思でここへ来た。自由のために」
「……」
「桜ちゃんだってそう。親やまわりの期待に応えるのにうんざりしてここへ来た。初めて恋をした」
「……」
「
「……」
「
「……」
「
「……」
「私だってそう。尊敬してたお父さんもお母さんも、愛人がいたのよ。家では仲睦まじくしておきながら、陰で欲望に溺れていた。そんなのに耐えられなかった。そんな時、翼がここに導いていくれた。安らぎをくれた。みんなに会えた。なのに……」
「……そうッスか。つらかったッスね」
静かに言いながら、私はそっとその顔を抱き寄せる。
「私、両親は日本人なのに金髪に褐色肌ッスからね。分かってもらえなかったり、いじわるされたッス」
「え?」
「しかも魔法犯罪に巻き込まれたときに能力が覚醒して、犯人を気絶させたッスが、お偉いさんは私を魔物認定して殺そうとしたッス」
「……」
「それでも
「……」
「捨てる神あれば拾う神あり、てあれ本当ッスよ。ただ気をつけなければならないのは、悪魔が狙っていることッス」
「……」
「白い姿で相手が喜ぶことをするッスが、その裏で勝手に命を吸い上げてたりするッス」
「……、それって」
「白いものが正義や善とは限らないってことッスよ」
顔を上げさせず、私は耳元で囁くように言ったッス。
そして、右手のハローを空間倉庫に入れ、代わりに鉛筆みたいな転移用の六角水晶を握り──。
トン。
その背中を叩くと、リーダーさんは身体が鈍く光って、その中心へ吸い込まれるように消えたッス。
「大丈夫。あなたたちなら、乗り越えられるッスよ」
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
……さて。
私は六角水晶を左手に持ち、再びハローを取り出したッス。
──そして。
「見てるんでしょう? 楽園の主さん。出てきたらどうッスか?」
宮殿内に響くくらいの声で、姿なき相手に言ったッス。
翼魔さんを全部やっつけて、みなさんを帰したのはいいッスが、一つはっきりさせなければならないことがあるッス。
それはこの楽園みたいな空間のこと。
誰が維持管理をしているのか、てことッス。
寄生するだけの翼魔さんたちにその力はないし、読書さんと接触したときの翼魔さんから得た情報でもそれを示唆してたッスからね。
裏で糸を引く人、黒幕がいるってわけッス。
「出てこないなら、この空間、ぶっ壊すッスよ」
そう言って私は六角水晶にハローをあて引き金を引く。
ボンッと音をたてて、私の前、二メートルくらい先の空間に穴を空けて、金色の円をつくったッス。
空間を渡れる鍵神の力と、金聖魔法の力をミックスさせたもんッスが、なかなかいい感じッス。
まあ、本気でこの空間をぶっ壊すなら、核になっているものを破壊するとかの方が効率的なんッスけどね。
脅しッス。
「ふ、ふははははは、はーははは!」
豪快な笑い声。
女の人ッスね。
三十代くらいの大人ってかんじ。
あくまで人間だったらッスけど。
「いいな、お前。最高だ」
すると、その人は姿を現したッス。
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