あなたは私の何が気に入ったの?

「あなたはただ、私が日本語を喋れるようにサポートしてくれればいいの」と 沙世子はサンダーソニアの言葉に困惑しながらも、「分かったわ」と答えた

「ふふっ、良かったわ」と言って、サンダーソニアは沙世子の手を離した 沙世子はそんな様子をじっと見ながら、「ところで、その言葉を教えるって具体的に何をすればいいんでしょうか」と聞いてみた すると、サンダーソニアは「そうね、まずは挨拶の仕方から教えてくれるかしら」と言った 沙世子は「分かりました」と答えると、「じゃあ、早速始めましょうか」と続けた サンダーソニアは「そうしましょう」と答えて、沙世子と一緒に歩き出した 沙世子は病院の中に入ると、受付で面会の手続きをした しばらく待っていると、看護婦に案内されて病室に入った 中にはベッドに横になっている玲子の姿があった 沙世子はベッドの側に近づくと、「お久しぶりです」と言って、頭を下げた すると、玲子は「えぇ、お久しぶりですね」と返事をして、起き上がろうとしたので、沙世子は慌てて玲子を制止した 玲子は「ありがとうございます」と言うと、ベッドに体を預けた 沙世子はそんな様子を見て、胸が締め付けられるような感覚を覚えた しばらくして、沙世子は鞄の中からノートを取り出すと、それを玲子に差し出して、「これがあなたの国の言葉で書いてあります」と説明した そして、沙世子は「何か分からないことがあったら何でも聞いてください」と言って、その場を後にしようとした すると、玲子は「ちょっと待って」と言って、沙世子を呼び止めた 沙世子は立ち止まって玲子の方を見ると、玲子は「あなたも一緒にどうですか?」と聞いた 沙世子は一瞬意味が分からず呆けてしまったが、玲子はそんな沙世子の様子を見て、もう一度「あなたも一緒に参加してみませんか?」と尋ねた 沙世子は玲子が何を言っているのか理解すると、首を横に振って「いえ、私は結構です」と断った すると、玲子は「そうですか」と残念そうに呟いてから、沙世子の顔を見た 沙世子は、玲子の表情が少し寂しげなものに変わったことに気がついて、少し罪悪感を感じた

「また、今度参加させてください」と沙世子が言うと、「ええ、いつでも歓迎しますよ」と返事が返ってきて、ほっとした そして、「また来ますね」と伝えてから、沙世子は部屋を出た サンダーソニアは沙世子が去るのを黙ったまま見ていた その後、沙世子は病院を出て家に帰ろうとして駐車場に向かうと、すでにそこにはサンダーソニアが立っていた 「随分早かったのね」と言って、車に乗り込もうとすると、ドアノブを掴もうとしていたサンダーソニアが振り返って口を開いた

「今日一日だけ付き合ってくれるだけで十分だからね」と言って、車に乗り込んだ

「今日は本当に楽しかったわ」と言われて、沙世子は少し照れながら「それはよかったわ」と言った すると、サンダースソニアが突然顔を近づけてきて、「私ね」と言ったので、「何?」と聞いたら、サンダースソニアの口から思いがけない言葉が出てきた

「あなたのことが好きなのよ」と 沙世子はその言葉をすぐには信じられなかったけど、その真剣そうな表情を見て、ようやく冗談ではないと分かった

「どういうことかしら」と聞き返すと、サンダーソニアはさらに距離を詰めてきた

「あなたが好きだから、あなたの恋人がどんな男なのか知りたかったのよ」と言われたのを聞いて、沙世子はますます訳が分からなくなったので、「えっ?それって一体どういうこと」と言いかけたところでサンダーソニアは口を塞ぐように、さらに顔を近づけて「もちろん」と言って続けた

「もちろんそういう意味でも好きなのよ」と沙世子は耳元に息がかかるような感じがして、「ちょっと近いから離れて」と言った すると、サンダーソニアは少し離れたのを確認すると、「つまりね」と言って説明を始めた

「私はね、あなたの恋人になる男の人を見てみたいのよ」そう言われて、沙世子はサンダーソニアが一体何を言おうとしているのか理解すると、「そんなこと無理よ」と言った すると、サンダーソニアは沙世子の目を見つめながら、「どうして?」と言った

「あなたと私は恋人でもなんでもないんだから」と言うと、サンダーソニアは首を横に振りながら答えた

「私はあなたを愛おしく思ってるわ」

そう言われた時、沙世子はドキッとしてしまった

「私は別にあなたの恋人には興味がないのよ」

沙世子はその言葉を聞くと「つまり、あなたは私のことを異性としては見ていないということかしら」と尋ねると、サンダーソニアは「そうね」と答えた 沙世子はサンダーソニアの言葉を聞くと、胸が締め付けられるような痛みを感じた

「でも、そうね、強いて言うなら、あなたは魅力的な女の子よ」サンダーソニアはそう言うと、「それにね」と続けて、言葉をつなげた

「私が本当に興味があるのは、私に魔法を教えてくれた師匠みたいな存在よ」と言って、今度は自分の耳を指差した 沙世子はそれを見ると「それなら、なおさら私じゃない方がいいのでは」と聞くと、「うーん」と考え込んだ後、「やっぱりあなたが一番いいのよ」と言った 沙世子はその理由を聞き返そうとしたけど、それよりも早く、「だって」と言って、サンダーソニアは続けた

「あなたはとても魅力的で素敵な女性なんだもの」サンダーソニアは沙世子の耳元に顔を寄せると、再び口を開いた

「あなたは、とてもいい匂いがするわ」沙世子は耳元で囁かれた言葉をすぐ信じることが出来なかったので、「本当ですか?」と聞き返したら、「ほんとよ」と答えた すると、沙世子は自分の首元の方に顔を寄せると、スンスンと匂いを嗅いでみた すると、微かにだけど、サンダーソニアが付けている香水の匂いを感じた

「ほらね」と言われて、自分が何をされているのかようやく気がついた沙世子は、「ちょっ、何をしているんですか!?︎」と言ったら、サンダーソニアはすぐに離れたが、それでも鼻先がつくような距離まで近づかれたままだったことには変わりなかったので「離れて」と伝えたら、素直に従ってくれた しばらくして沙世子は冷静になると、鞄の中から手鏡を取り出して顔を見てみた サンダーソニアはその様子をじっと見ながら、「そんなに慌てなくて大丈夫よ」と言った 沙世子は手鏡をしまうと、「えっと」と言ってどう話を続ければいいのか迷っていると、サンダーソニアは「ねえ」と言って話しかけてきたので、「何かしら」と返事をしたら、急に手を取ってきたので、思わず体がビクッと震えてしまった 沙世子は突然の出来事だったので驚いてしまい「ちょっと」と言った後、少し後ろに下がってしまった すると、サンダーソニアは「ごめんなさい」と言ってすぐに手を離したので、「いえ、こちらこそ」と言ってその場を取り繕った サンダーソニアが少し顔を赤くしながら黙り込んでしまったので、何を話したらいいのか困ってしまった沙世子は、とりあえず「それで」と言って会話を続けた

「あなたは私の何が気に入ったの?」

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