第19話 猫貴族、尋問する
「グレン様、尋問したところ奴ら何も吐きません」
「それなら私も尋問に協力した方がいいかしら?」
「そうだな。すまんがアリアも闇魔法で協力してくれ」
気になったのでこっそり馬車から覗いていると、どうやら精神干渉系の魔法を使って尋問しているようだ。
しかし、男は頑なに口を割らないようで皆が母さんに理由を尋ねている。
「おそらく既に闇魔法で精神干渉を防ぐ魔法が掛けられているわね」
「黒幕も襲撃が失敗した時に備えていたんだろう。くそっ、このままだと何も吐かせられねえな」
イラつく父さんに声をかけ、考えていたアイデアを提案する
「ねぇ父さん。試したい魔法があるんだけど任せてくれない?」
「確かにお前の魔法ならなんとかなるかもしれないが…。だがお前が魔法を使ったことがバレるとまずい。ちょっと待ってろ」
騎士団に改めて指示を出し直し、騎士団が周辺警備につき、捕虜二人は母さんの魔法で眠らされた上、頭から袋を被らされた状態で縛られていた。
父さんと母さんからは出来るなら声も発さないよう指示されているので二人と顔を見合わせ、死神のグローブを装着した手を男たちの頭にかざし
(『カオスナイトメア』これで覚めない悪夢に陥ったはず、そして『夢喰い』)
一人はどうやら本当に黒幕は知らないみたいだな。典型的な下っ端か。
リーダー格の男の記憶は…当たりだね。
なるほど。僕たち一家が急遽ネーロ公爵家へ行ったことを知って慌てて刺客を送ったわけか。
そして公爵領内で襲うことで辺境伯家の命だけでなく、公爵家の影響力も落としたかったってことね。黒幕は…マクベス公爵家?
ここまで記憶を読み取ったところで父さんたちに完了の合図を出し、捕虜は騎士団に任せ、馬車へ戻る。
「どうやらマクベス公爵家?ってのが黒幕みたい。」
「マクベス公爵家か…。貴族派の大物貴族だな。」
「貴族派?」
「このエルマーレ王国の貴族にはな、三つの派閥が存在するんだ。一つ目は今の種族や身分に囚われない政治体制を良しとする、宰相やネーロ家を中心とした南部派閥の所属する国王派。二つ目は貴族こそが中心であるべきと考えるマクベス公爵家など北部貴族が中心となる貴族派。三つ目は積極的にそういった争いには口を出さない中立派。東西の辺境に位置する貴族たちが多いな。」
「そういったこともあって昔からマクベス公爵家はネーロ家公爵家を目の敵にしているのよ。現公爵が当主になってからは特に酷いわね」
「しかし今回情報を得られたのは大きいな。物的証拠がないにせよ、周辺貴族には警戒を伝えられる上、重点的に情報収集が出来そうだな。助かったよルーク。」
「いつの間にあんな魔法が使えるようになったの?」
「ネーロ家で『スリープ』の魔法を学んだ時に相手の見ている夢が見れたら便利だなと思ってクロエに相談したんだ。それより父さんが炎を剣に纏わせた奴がすごい気になるんだけど!」
「エンチャントか!あれは父さんの奥の手の一つだからなかなか難しいぞ。帰ったら剣術の基礎から叩き込むからそれが完璧に出来たら教えてやるよ」
襲撃事件はあったが、再びロッソ辺境伯領へ向けて出発することとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます