全部

飽きやすい性格だった、それでいてハマりやすく、楽観的である。

そんな俺は全てを夢見た。すぐに熱に浮かされ、何かを始める。

少し上手く行くと自分には才能があると思い込み、成功している自分を思い浮かべる

時間が経てばやる気と情熱がなくなり、また別の何かを始める。

そんな日常を繰り返して、繰り返して、そしてまた繰り返す。

やがて自分の本当にやりたかったことさえ忘れたまま、涙を流す。

いや、本当はやりたかったことなんてなかったのかもしれない。ただ認められたくて、周りに俺の凄さを知ってほしくて、探していたのかもしれない。自分が認められる「何か」を

長い月日が経ったある日、周りを見て気づく。「ああ、俺には何もない。」

全てが中途半端で、全てが下位互換。

その現実に絶望し、その状態にしてしまった自分に失望する。

何にもなることができず、「何か」になれた誰かを羨望する。

希望もなく、腐るほどあった夢はもう一つもない。生きている理由もないが死ぬ覚悟はない。いずれそうした現状に満足し、「これでいいさ」と悟った振りをし、言い訳を探す。いつしか身も心もどろどろに腐り、生きているのか死んでいるのか自分でもわからないまま、歩いていく。歩いていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る