第2話 状況確認よーし!

もういい、状況の確認だ!

 男子高校生の俺は恐らく死んだ。そしてゾンビに転生した。いや、転生したっていえるのか? 死んでるぞ。

 まぁいいや、次に土地の現状確認。周りは廃墟だな争ったような跡は見られる。焼け跡、焦げ跡、大きめのひっかき傷。ひっかき傷は二メートルはあるな。こんな被害を出せるような猛獣は普通は存在しない。つまり、日本ではない、ゾンビがいる時点でまともな世界ではない事だけはわかる。

 時刻は夜か。マズいな、細菌でゾンビになったとかじゃないのなら日光で消える可能性がある。


「あー!」


 うおっ! あぶねぇ、同族に襲われかけた。見境無しって事か。よし、ここは逃げるが勝ちだ!


 武器と役に立つような道具を探さないとな。周囲にそれらしい建物は、お、ここは、雑貨屋か? 扉を開けてお邪魔しまーす。

 扉を開けると血だらけの店内が広がっていた。壁に掛けられている武器や盾も、棚に並べられている薬や雑貨にも血が付いている。カウンターの後ろには店主のような男が倒れている。こちらは頭を砕かれて、背中をバッサリ切り裂かれている。俺はどうなんだろう?

 体を見てみると服の腹部が裂けている。鋭い刃物で腹を切り裂かれて出血多量で死んだのだろう。しかし、体の腐敗が心配だ。防腐剤かなんかが欲しいが難しいだろうな。

 包帯はあるな。体をこれで固定しよう。関節を保護するように撒いて、残りは足裏を補強するように巻いてサンダル風の靴を履く。おお、これで歩きやすくなった。服や防具は店の裏かな。店長さんは安らかに眠りな。店長さんは店の中央で眠らせて置く。

 おや、二階へ続く階段を発見。ここは自宅兼店舗だったのかな。階段にも死体がある。しかし、女の人ではないから店長の奥さんではないな。横に並べて置こう。

 ふぅー、苦労したぜ。さて、二階には何があるのかな。扉があるな。開けて、おや、開かない。これは中から鍵を閉められていてさらにはバリケードも作っていると見た。ん? なにか嫌な予感が、少し離れよう。


パリン!


 うわ! なんか水が漏れてきたぞ。折角の飲み水をもったいない。ん? いや。これはゾンビ除けかな。…………ちょっと実験体を連れてこよう。


 よしよし、頭を持ってきた。元気にあーあー呻いているぞ。ほれ!


「ああああああ! あーああああーあー!ー!」


 すげぇ叫び声上げてる。苦しいんだろうな。だが、許せ。これも生きる為。この世は弱肉強食なのだ。


「あ、ああ、あ、あ、あっ」


 動かなくなったな。しかし、ヤバイなこれ。聖水というかそんなものかな。触らぬ神に祟りなし、放って置くか。


 地下倉庫に来たが、色々あるな。コートとかバックとかこの街を出るのなら必要なモノが沢山あるな。肌とか焼かれると困るし日焼け対策はしっかりしないとな。肌は見せない様に徹底して、なおかつ動きやすく…………。


 うん、これで良いかな? 頭部から首元、両手首から肘、両足首から膝までの日が当たりそうな場所は包帯を巻いて隠す。ズボン、シャツをその上に着てさらにロングコートで体を保護し、黒い手袋で日光をさらにガード。最後に靴を履けばこれで完了だ! 剣での武装も完了、一応盾も背負ってこれで怪しさはあれど人間に見えるだろう。


 早めに街に出よう、お、一応、同族の首をもぎ取って。空を確認するとボンヤリと白っぽくなっている。

 急いで近くの森に入らなくては。

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