「異能」


 風が電線にぶつかり、ひゅうと鳴る。

 自らの能力によく似た音だと思った。


 彼女は両耳を縫いとめてあるようなうるさい数のピアスを外す。数多のピアスホールを吹き抜けて物悲しい音色が響く。


 ひゅう。ひゅう。行き交っていた人々は音を耳にするなり痙攣して、倒れた。


 ーー耳鳴り。それが彼女の能力だ。


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