生ゴミ箱

 自宅のゴミ箱の底に口が現れた。そう、人間の口がゴミ箱の底についているのだ。その口は投げ込んだゴミを食べてくれるようだ。なんとも気味が悪かったがゴミ捨ての手間が省けるからそのままにしていた。

 そうしているうちにゴミ箱に手足が生えて、歩き回って自分でゴミを食べるようになった。

 外にも出るようになった。ふっといなくなったかと思えば泥や草を引っ付けて帰ってくる。初めのうちはこんなバケモノが町をうろついて騒ぎにならないか気にかかったが、特に心配は要らなかった。ついに言葉を話すようになったこのバケモノによれば、『オレを目にした人間は全部食ったから大丈夫』とのことだ。

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