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さあ、先述の権田原15の冠番組『ゴンダワラって読むんだよ』の収録が、3、2、1…はいっ、スタート。
「はいっ、きょうも《ゴン読む》の時間がやって参りました。えー、ワタクシ司会のゼロと…」
『リリィだよ。よろしくねー』
と、ここMC席にて私が、膝に
「そして、これがゴンちゃんたちですっ」
カラフルで華やかなセット内、そう私に紹介されるや、お揃いの衣装で
いえ〜いっ…!
と、一斉に声を上げつつ、手を振ったりポーズを取ったり。それぞれが、カメラに向かって愛嬌を振りまきにまきまくる。
「えー、はいっ…と。さて、さっそく本日の企画に参りましょう。では、リリィ。今回の企画を発表してください」
『はい。えー、今回はトーク企画。まず最初のテーマは《てへっ、やらかしちゃった。私の恥ずかし黒歴史》でーす』
そこで拍手の中、一旦リリィを隣の席に。同じくして私は、眼下のテーブル上の進行表と、向こうのメンバーとを交互に見始めた。
「えっと、じゃあ…まずは梨央からいこうか」
「はいっ」
指名されるや元気に応えるセミロングヘアは、山崎梨央。グループ最年長の24歳で、何事にも積極的な権田原15のリーダーである。
「えっと、私がやらかしちゃったのはですねー…」
ハキハキとした、いつもの調子。さっそく梨央が語り出した。
ちなみに、私がMCに抜擢されると共に当番組が始まってから、およそ1年。当初のぎこちなさはどこへやら、いまやメンバーとも打ち解けた私は、この後も、我ながら落ち着いた司会ぶりで番組を進行していく。
すると、この収録(3本取りのうちの1本目)も、やがて中盤を迎えた頃…
「…っと、そういえばゼロさん〜っ。もういいかげんゼロさんの《推しメン》決めて下さいよ〜。えっ、あたしですか〜? いやんっ、もうそんな皆の前で、恥ずかしい〜っ」
そういえば史都みたいな、独特の
この権田原15の人気メンバーの1人で、ご覧の通り、少し茶色がかったロングヘアも艷やかな色白美少女だ。
「そうだそうだ〜」
「決めて決めて〜っ」
「そうそう。いっつも『箱推し』とかって、紳士ぶってるんだからー」
とかって、今度は他のメンバーたちまで騒ぎ始めた。いやはや、まいったな。
「んな、別に紳士ぶってる訳じゃないが、いやまそれはだなー…」
カワイ子ちゃんたちに詰め寄られ、タジタジながらも、その実まんざらでもない私である。
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