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元々は茶室。なれど、それが後に母屋の一角に移動した為、いつしか物置状態に。その薄暗い空間へと踏み入れるや私は、まずは外の光を取り入れるべく、両脇の障子窓を全て開いた。
さらに、その向こうのサッシ(リフォーム済)も開放。
うん、特に用事がない時でも、たまにこうする。空気の循環の為にも、な。
ともあれ、ご覧の通り箱だの何だのが、ところ狭しと並べられたり積まれたりしている八畳間の中、私は戸口から向かって左奥の一角へ移動。
そうなのだ。この辺に置かれた大小の木箱の中に、我が楠家に纏わる出来事を記した史書が、それぞれ年代別に収められているのだ。
「んじゃ、まずは一番古いのから…と」
その言葉通りに私は、ある1つの箱から最も古い史書、数冊を引っ張り出した。
で、なにが入っているのか1度も開けて見たことのない、大きな横長の箱を机代わりにしゃがみ込み、数冊のうちの一冊たる紙束を捲ってみる。
すると、その黄ばみ茶ばんだ歴史ありありの紙面には、いまで言う
でも、大丈夫。私も含めて楠家の当主となる身の者は皆、代々こういった文を読むことが出来るよう、あらかじめ教育を受けているのでね。
「しかし、我が楠家は平安時代後期から続いておるからなー。これらをすべて読んで調べるのは、なかなか骨が折れそうだわい」
窓から差し込む午後の光を一身に、ひとりブツブツと呟く私。
「でも、読むぞ。せめて何か手がかりだけでも掴むんだ」
だが、その前に…
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