前のエピソード――4

　先にも触れたが、名門楠家の現当主として私は、この代々受け継がれてきた屋敷に、たったひとりで暮らしている。

　また、実は芸人（・・）でもある私は、主に当家の資産運用と共に、その収入で生計を立てているのだが…

　いやさ、芸人は芸人でも私は、所謂『腹話術芸人』であってさ。しかも特注の等身大リアル人形を使って、それをやってるんで…うん、用途は違えど、間に合ってるんだよ。こんな大きな人形は、さ。

　ほら、このボブヘアにして、ミニのワンピにベレー帽(着替えも可能)姿の美女人形が、すでに存在してるんです。我が家には。

　その名も、リリィ。そうそう、こうして背中に手を入れて、抱えるように…ね。もちろん口も動かせれば、瞬きも出来るぞよ。

　おまけに、ヒミコとやらとは、比較にならぬほど軽い。ふわ〜っ。

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