キズモノになった私と婚約破棄ですか？別に構いませんがあなたが大丈夫ですか？

第5話ー真実ー

「な………おまへ………」

マリアンヌは首の骨を鳴らしながらアルベルトに近づく

「ひ…ひぃ！！」

アルベルトは思わず剣を向けるが、マリアンヌは神業のような速さでその剣を蹴り折った

「こう見えても私、元は王宮直属近衛騎士でしたので…素人ではなにも出来ませんよ」

「おへを殺す気か！？」

「………ルナ様を脅したときは殺して見つからぬ場所に埋めようかと思いましたが、オスカー様に救われましたね」

「あの気絶は演技ひゃ？」

「ええ、あなたの本性が知りたくて演技いたしました…まぁ…結果は股間に知能を奪われた残念なクソ野郎でしたが」

「く…どうするひだ…」

「正直、歯も抜け落ち、地位も落ちるあなたに伝える気はありませんでしたがルナ様の名誉のためにお伝えしようと思いまして、貴方はルナ様の傷はなぜできたのか分かりますか？」

「し、知るわけなひ！どうせ転んでできひゃ傷だ！」

ズガン！！！！

轟音と共にアルベルト王子の後ろの壁が崩れる

頑丈な石造りの壁をマリアンヌが蹴り壊したのだ

「言葉に気を付けろゲスが、ルナ様への侮辱を吐けば次は私が殺す」

「あ、あがが………」

アルベルトの股間から暖かい液体が流れる

もはや王子の威厳などどこにもなかった

「あの傷はお前を助けるためにできた傷だ」

「な、なにをいっへ………」

「あの日、私は用事により外していた…その日にお前を憎む者が暗殺者を差し向けたのだ、お前は女遊びが激しいからな恨みを持つものも多い…それを知ったルナ様は自身の体に傷を受けながらも私が戻るまで暗殺者を止めたのだ…これほど悔しい事はないよ……私がいれば…」

「な、なぜ…俺をまもっひゃんだ？」

「ルナ様はお優しいのです、例え愛もなくひどい行いをしたお前でも助けるために身を投げ出す」

「な…………」

「私もその一人だ、幼いルナ様に傷だらけの際に助けて頂いた…あの時から忠誠を誓っている」

「…」

「わかるか？もう遅いんだよ、ルナ様はお前を助けていたんだ、これまで何度も何度もお前の不貞には頭を下げて謝って回る事もあった…これからは誰もお前を助けない…憎むものも多くいるだろう…怯えて暮らすのだな」

「うぁぁぁぁぁぁぁｌ！！！！！がぁ！！がぁぁぁぁあｌ！！」

アルベルトは狂い、よだれをまき散らしながら後悔した

自身はもう落ちていくしかないのだと

ただ一人いた命を守ってくれた人でさえ

自身が傷つけたのだと

全てが遅く、手遅れであった

後悔と恐ろしさで気を狂わせなければ耐えられなかったのだろう

「では、失礼いたしますアルベルト様」

マリアンヌはそう言って部屋をでた

もう二度とルナ様の幸せは奪わせない

私が守り通してみせる

そう心に強く誓いながら