キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
第1話ー心配なんて言葉はないのですねー
「貴様との婚約は破棄する、顔に傷のある女など願い下げだ」
ギリシア王国の第二王子、アルベルト・ギリシアはそう言って私の顔に水を振りかけた
髪から滴り落ちる水滴を見ながら私はふと思った
二人の間に恋や愛などないことは分かっていた…だが
(心配すら…してくださらないのですね…)
私は数日前にとある理由で瞳に切り傷を負ってしまった
深い傷のようで跡は残ると医者の方に言われました
包帯を巻いて頂きベッドでゆっくりしている私の部屋に突然入ってきた
アルベルト様が第一声に発した言葉が先ほどのセリフです
まぁ…婚約破棄は別に構いません
私、ルナ・スカーレットは伯爵家の令嬢であり第二王子との婚約事態も私が決めた訳ではなく目の前の第二王子が指名して婚約を申し込んできたのだ
お父様は断るのも自由だと仰っていましたが私は特に気になる相手もおりませんので婚約の申し出を受けました
今にして思えばそれが間違いでしたね
第二王子の目当ては私の身体だったようで
会って直ぐに寝室に連れて行かれました、情熱的な言葉も、愛の言葉もなく
笑みを浮かべて迫るアルベルト様に私は正式に結婚するまではそういった行為は出来ないと拒否しました。
それが原因なのでしょう、アルベルト様は美形であり、今までそういった行為を断られた事はないために
初めて断った私にプライドを傷つけられたのか、私との婚約を維持しながら他の女性の方と交わるようになりました
当てつけのようにパーティーの際には多くの女性を侍らせてましたね
まぁ…そんな訳で婚約破棄となっても、やっとか…という気持ちしかありません
けどまさか怪我人に水までかけて来るとは予想外でした
「ルナ様、大丈夫ですか!?」
私のメイドのマリアンヌが私の身体を咄嗟に拭ってくれた
その目は怒りで満ちており、水をかけたアルベルト様をにらみつけていた
だが口に出して怒りを吐くわけにはいかない、相手はこの国の君主の息子の王子なのだから
「わかりました、アルベルト様…婚約破棄の件はお受けいたします…お世話になりまし…!?」
言葉の途中で、胸ぐらをつかまれた…
アルベルト様はどうやら私に手を出そうとしているのだろう、拳を握っているのが見えた
「お前のその平然とした態度が気に食わん!!」
「ルナ様!!!」
ガツンと鈍い音が響いた
目の前で私をかばったマリアンヌが殴られたのだ
幼少の頃より私の世話をしてくれて、私がうれしい時も悲しい時も常に傍にいてくれた彼女に!
怒りがこみ上げ、私は気づけばアルベルト王子を突き飛ばしていた
よろよろと王子は後ずさり、わざとらしく転げると小さな傷を作った
「マリアンヌ!?大丈夫!」
「は、はい…ルナ様…私の事は気になさらずに……」
打ち所が悪かったのかマリアンヌは気絶してしまう
「ははは!!!手を出したな!お前は婚約破棄を拒否するためにこの国の王子の俺に手を出したんだ!!はっはは!!」
アルベルト王子は小さな傷から滲んだ血を拭う
「わざとらしい…アルベルト様、あなたが転んでできた傷でしょう」
「伯爵の令嬢と王子であるこの俺、他の者は誰を信じるだろうな?なぁ…わかるだろ?」
目の前のアルベルト王子は下卑た笑みを浮かべ近づく
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