第287話最終回 また逢う日まで


 月日は流れて………🍂─🍃─🌸



【由利子side】


 ついにこの日が来た。


「由利子先生、おめでとう!」


「綺麗ですよ、由利子先生!」


「「「「「「「「「「「「「「「「「「

 お幸せにぃー、由利子先生ー!

 」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 ハルトとの結婚式、夢にまで見た結婚式だが実感が湧かない。


 私の手を握り柔らかく笑いながらハルトが、


「 一緒に幸せに成りましょう、ユリコ 」


「ええ、これからもよろしくお願いしますね、ハルト」


 緊張の為か、敬語に成ってしまった。


 緊張の為か、結婚式の儀式は ほとんど覚えていないが、無難にこなせていたのだと思う。


 教会から出て来た時、それまで雲っていた空から日差しが差し込んできた。

 爽やかな風が吹き、気のせいだと思うが世界が私達を祝福してくれているような気がする。


「由利子先生! 早く『ブーケトス』をしてくださいよー!」


 聖子や秋奈たち、私達の教え子達が私の持っているブーケに注目している。


 よかった………本当に良かった。

 一時は、本当に教え子達に先を越されるのでは無いかと戦々恐々としていたのだが、こうして本当に結婚式を迎えることに成るなんて………



 ブーケトスをしたら、皆が先を争ってブーケの取り合いをしていた。

 つい、この間まではあちら側だったのに、こちら側に成れるなんて……


 男不足の為に女の子達の男の子を巡る争いは大変だなぁ~

 と、他人事に思える余裕ができるとはな、………ついに勝ち組だな。



「由利子先生ー、記念写真を撮るからハルト先生とポーズを取ってくださいねぇ~ 」


 楓がスマホでは無く、本格的なカメラを持って他の大江戸ファミリーと一緒に声をかけてきた。



「よし、任せろ! 」


 私はハルトをお姫様抱っこをして『ピースサイン✌️』を出した。



 パシャ !


 皆が、キャァ キャァ 言っている。


「みんなァー、お先にぃー! 」


 言ってみたかったセリフが言えた事に満足しているが、生徒たちからは悔しそうな声が聞こえて来た。


 本当は新婚生活で二人で住みたがったが、私達二人の家事能力は小学生レベルの為に大江戸家にお世話に成ることに。

 潮来家からの支援もあり、元々広い大江戸家を増築している。


「子供は何人欲しい、ハルト?

 男の子と女の子の産み分けは、未だに難しいが気合いで努力するぞ!」


「 子供は無事に生まれてくれれば、男の子でも女の子でも良いで~すね。

 子供の人数もユリコに任せますので体調と相談してくださいねぇ~」


「あぁ、任せてくれてありがとう。

 健康だけは自信があるから大丈夫だよ、ハルト!」



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



 さらに月日が経ち………🍂─🍃─🌸



 今、私達はタクシーで大江戸家に向かっている。


 運転手さん以外は、私とハルトそして………



 キッキキキー。


 大江戸家にタクシーが止まると家の中から大江戸ファミリーが出て来て迎えてくれた。


 赤ん坊を抱いた私に皆が囲んで、


「「「「「「

 お帰りなさい、由利子先生、ハルト先生

 」」」」」」



「「 ただいま、皆」」


「由利子先生、赤ちゃんを見せて貰って良いですか?」


 瞳からの要求に娘をお披露目した。


「「「「「わぁー、可愛い!」」」」」


 そうだろう、そうだろう。


「天使どころか女神さまレベルだよ!」

 勇気の言葉には同意する、親バカでは無いが娘が可愛すぎる。


「名前は、何て言うんですか?」

 楓の問いに、


天音あまねてんおとと書いて天音だ」


潮来いたこ 天音……良い名前ですね、由利子先生」

 仁くん、ありがとう。


「いつまでも外に居ると身体に良くないから家の中で話しましょう、由利子先生」


「そーでぇーす、姪っ子が風邪を引いたら大変でーす!」

 真理愛とアリスに急かされるように家に向かった。



 ──天音、この家は私とハルト………お母さんとお父さんが初めて会った場所なんだよ。

 仁くん、勇気、楓、瞳、アリス、真理愛、皆が私達の家族なんだよ。

 これから楽しい事も悲しい事もあると思うが、これから生まれて来る妹や弟たちが居るから大丈夫だよ───



 天音が女神さまの様に微笑んだ気がした。



 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る