第10話 5-3
ーーダメだ。この四人には油断してはいけない。
父の残したメッセージ。
僕は念のためコピーを取っておく事にした。
万が一、やぶられでもしたらーー。
もしかしたら、彼らのうちの誰かが父を殺害したかも知れないのだから。
予定を忘れないうちに、机の上に置いたメモ帳
に記した。
ーー万が一、僕に何かがあれば、彼に疑いがかかるだろう。
破られるかもしれない。
僕は普段よりも、筆圧を強くして彼の名前をかいた。
8時⚪️⚪️ファミレス。
山崎太郎。
ただ、それだけの記入で腕が疲れていた。
強く書きすぎたのだろう。
翌日。
僕は山崎太郎という人物に会いに行った。
約束の夜8時より、5分程度、遅れてきた。
「ーー君が健吾の?」
ぼんやりとケータイを見つめる僕に、彼は言う。
「はい。ーーあなたが父さんの友人の太郎さんですか?」
「そうだよ」
彼は名刺を僕に差し出した。僕は名刺をもっていないので「斎藤健吾の息子の秀二と言います。突然呼び出してしまい、すいません」と頭を下げる。
「ーー早速だが本題に入ってくれるかな?」
短髪で眼鏡の太郎と言う男は話を急がせた。
「実は、父の遺品を整理していたところ、こんなものが見つかったんです。ーーどう思いますか?」
僕はそのコピーを手渡した。
「ん?」
太郎は不思議そうに言った。
「君のお父さんは殺されたのか?」
「どーしてそう思ったんですか?」
「こんなメモがあれば、誰だって殺人を疑うだろう」
「警察の人は自殺だと言っていました。でも、そのメモを見た時、自殺ではない気がして」
「ーー君はどう思う?」
「僕も殺人なんじゃないか、と思ってます」
「そうだろう。ーーもしお父さんが殺されたのだとしたら、君はどーするつもりなんだ?」
「ーーわかりません。ただ僕は真実が知りたいーー後の三人にも会ってみるつもりです」
「そうか」
「最後に一つ質問があります」
「なんだね?」
「父が殺されるような理由はあったのでしょうか?僕には思い付かなかったので」
「どうだろう?」
太郎にも分からないようだ。
僕はまた連絡します。と言って、太郎と別れた。
家に帰ると僕はなぜか泥の様に疲れ果てていた。長時間、緊張が続いたせいだろう。
少なくてもこんな日が後三日はあるのだ。
僕は本当に真実を探し当てる事が出来るのだろうか?
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