第3話 第一話
父の死から一週間が経ち、少しは警官の数も減ってきたとは言え、家の前はマスコミが父の死を嗅ぎ付け、騒ぎ立てている。
そのせいで、俺は学校にも行けない生活が続いた。
それは、大変な事だ。
人、1人の命が消えたのだから。
マスコミが騒いでいるせいか、クラスメート達の訪問さえもない。
こんな時だからこそ、心を支えて欲しいのにーー。
学校。
ようやく、学校に登校出来たのは父の死から一ヶ月が経った頃だった。
いつもと同じ日常がそこにあるはずだった。
学校に行くと、仲間のフリをした友人たちが僕を取り囲んで口々に言った。
「ーーお前、父さん死んだんだろ?大変だったな」と。
マスコミに騒がれ、警察に暮らしを荒らされ、その話しには触れないで欲しいのに、みんなが俺に対して、割れ物を扱うように扱い始める。
俺は、こんな事の為に学校になんか来た訳じゃないーー。
久しぶり過ぎて、俺は俺の感情を伝えられなくなってしまったのだろうか?
自らの心に、感情に、フタをした。
俺にとっての学校はもう、楽しい場所ではなくなっていた。
家に帰ると、親戚のおばさん達が俺を面倒見ると言って迎えに来てくれている。
しばらくはお世話になるしかないだろう。
でも、俺は父とのいい思い出が詰まったこの部屋を離れたくないと訴え続けた。
「ーーこんな人が死んだ部屋なんてイヤよ」
そう口走ったのは、おばさんだ。
おばさんには一度だけ会った事があるが、前々からイヤな人だった。
「そんな事をいうもんじゃない。不謹慎だ」
メガネをかけた誠実そうなおじさん。
しかし僕は、その人にこの12年間、一度も会った事がない。
理由はわからないけど、、。
俺は子供だ。
大人に従うしかないだろう事は薄々わかっているが、これだけは譲れない。
「しょうがない。しばらくこの部屋で一緒に住む事にしよう」
おじさんがそう言ってくれた。
「ーーイヤよ」
またしても、おばさんは反対意見だ。
「しょうがないだろう。引っ越すにしても、何にしても、荷造りを彼一人に任すことは出来ないだろう」
「しょうがないわね」
流石のおばさんも、諦めたように頭を前後した。どうやら、しばらくは一緒にこの家で住んでくれるらしい。
俺がこの家に住みたいって言ったのは、単なるワガママなのだろうか?
警官達が、バタバタと動いている。
こんなに長い時間、調べるもんなんだろうか?
ーー彼らは父の死の原因を見つけてくれるのだろうか?
バタバタと動いている警察官の姿を、遠目に見ながら、俺はそう思った。
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