第34話 食糧支援
朝から領地を周り、サクサクと岩を伸ばし、領民が運び、塀のように立てている。お父様は、燻製にする為に空き家を補強しながら、燻製ハウスにするようだ。お祖父様は、猪を捌くグループを取り仕切りながら遠いながら笑い声が響く。
みんな祭り感があるのか領民が楽しそう、北部南部なんてない。
ひと段落して蒸し芋を食べる。
「美味しい」
みんなに美味しいと言うと、領民も嬉しそうにしてくれた。
「ヴルフゥー」
と声が響く。
どこ、どこにいるのかしら、とキョロキョロすると高い空から大きな翼が凛々しく空をスゥーと来る。
「バード」
と言い腕をくの字に曲げて用意した。すると、
バサッと音と共に翼を折り畳み、ふわりと着地した。
「バード、芋食べれる?」
と聞けば、
「ヴルフゥー」
と言い、うん?わからない?
「こっちは、無視するのか、ルイーゼ嬢。絶対みえていただろう」
とフリップ王子様が言った。
「ようこそ、フリップ王子様、わざわざお越し下さりありがとうございます」
と言うと、
「何、なんか怒ってる?」
と聞かれたが、
「まさか、今、バードを愛でる時間を邪魔されたなんて、ちっとも思っておりません」
「参ったな」
と言い、フランツ様、ソリオ様がまた笑っている。
本当は、何故ずっと学園に来なかったのか知りたいし、突然来るなんてで、心臓がバクバクで困る。
「ヴルフゥー」
「猪肉がいいわね、バードには」
と言い、
「お父様は、あちらにいます。案内しますね」
と少し落ちついた。バード様さまだ。
「お父様、フリップ王子様がお見えです」
と案内した。よく見ると三人ともだいぶお疲れのようだ。顔色も悪い。
私は、村の女性人に猪鍋を急ぎ作って欲しいと頼みに行った。バードは、肉の匂いで、早々に離れてお祖父様のところに落ちた肉を食べてる。
「お嬢様、そんな、芋洗いなどしないで下さい」
「このぐらいやらせて」
と作業をやめさせてしまった分をやる。
「本当にお芋美味しくて良かったわ」
と言うと
「領主様が、種芋を用意してくれたおかげで本当に今年は、芋に肉、野菜も収穫ありまして、だいぶ売る事も出来ました。家族みんな、豊かに冬を越せます」
と女性達は、揃って言う。
「来年もまたその次も続くと良いわね」
と言えば、女性達も
「はい、夢のようです」
お腹いっぱいに食べれれば、幸せを感じる。領地から笑い声が絶えないのは、きっと腹も満たされているからだ。
「ルイーゼ嬢」
とソリオ様が呼びに来た。ちょうど、芋も洗い終わった。
「何をされていたのですか?」
「はい、芋洗いを手伝っていたんです」
「はぁ、ふふふっふ、こちらへマリノティス侯爵がお呼びです」
「はい、ソリオ様、笑うの我慢しなくていいですから」
と言えば、手を振って誤魔化している。
お父様が
「ルイーゼ、この鉄なんだが、猪を吊るす為に形を整形して欲しい」
「わかりました。5本でいいですか?」
「あぁ、頼む」
と言われ、すぐに釣り針をイメージして作った。
今回お試しで普通に薪でやる。釜戸近くの外壁を柔らかくして外と通じるようにして薪を入れられるようにし、扉も付けた。ソリオ様とフランツ様は、私の魔法を初めて見るので、すごく驚いていた。
「上手くいくと良いですね」
と言えば、
「お嬢様、鍋出来たよー」
と声がした。
「フリップ王子様、ソリオ様、フランツ様、猪鍋召し上がってみて下さい」
といって連れていけば、バードは、食べ終わり屋根の上で待機していた。
子供達もかっこいいと言われている。
「お嬢様、他の貴族様に食べさせるようなもんじゃないさ」
と女性達が、フリップ王子様のオーラにやられた様子で言っていたが、フリップ王子様自ら、
「いただきます」
と言って食べ始めた。外の丸太に座り食べている。
「美味しい」
そうでしょう。女性達を見て頷いた。
「デマルシア帝国でトラブルがあって、食料支援をしたいんだが、どこも冬を越す為に食料庫の出し渋りがあって思うように集まらくて、次は、マリノティス領だと思ったら、活気があって驚いたよ」
「そうですか、デマルシア帝国は食料難は、大変ですね。我が領地は豊作でお祭りのようになっているので、お役にに立てそうで良かったです。学園をお休みになられていたのは、その件でですか?」
と聞くと、フリップ王子様が
「ずっと掛け合っていた王城の食糧庫は、非常時以外出せないと上の方が会議までして言うから、方々で集めるしかなくなって」
「もっと早く皆様に頼りましたか?」
「いや、みんなには学生として過ごしてもらいたいから、休みになるまでは」
とごにょごにょ言っている。
「はあ、あなたも学生です。Aクラスの仲間ですし、生徒会のメンバーです。とにかく今は、温かい食べ物をお腹いっぱい食べて下さい、お二人もですよ。顔色が悪い。お母様のことですから、客室は整えて下さっているはずです安心して今日はお過ごしして下さい」
と言えば、皆様たくさん食べてくれた。
お父様も一緒に食べ、燻製の出来上がりは、明日だなと言い、もう一つの村に顔を出してから帰る。
先に戻って休んで下さいと言ったのに、全然帰る気配もなく付いて回る。
バードは嬉しいけど、何人もズラズラついて来たら鬱陶しいとわかった。
こちらの村も豊作で猪は隣の村から逃げて来た程度らしく、柵はそれ程ダメージはないが、補強程度を今日はして帰った。
領主館につけば、お母様は、
「あら、まぁまぁ、準備は整っております」
と言って、客室に通した。
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