第26話 文化祭


レイラ様は、あれからあまり発言せずに文化祭当日を迎えた。

結局大部分が外部の商会が参入したり、屋台は、王都でお店を出しているところに参加してもらう。その中で布に

『一年生有志によるライラのクッキー屋』

と書いて前面にぶら下げる屋台。

ライラ様凄いわ。推しが強い。

そう言えば、フリップ王子様とも、親しいは親しいがベタベタという感じではない。友達という感じに見える。

そんなことを考えていたら、フリップ王子様とレガシー王子様が歩いてきて、黄色い声があがる。

「やあ、ルイーゼ嬢。文化祭の実務はどこも順調かな?」

とフリップ王子様に聞かれ、一回眩しすぎて顔を横に向いた。

「はい、困ったとは聞いていません。来賓がまだ半分の方がお見えになってないとは、三年から連絡がありました」

「ルイーゼ嬢のおすすめの屋台は?」

「まだ回ってないのでわかりませんが、出来れば、ローストビーフが食べたいです」

というと、レガシー王子様が笑う。笑うとさらに中性な感じがする。そしてフリップ王子様も笑い、

「もし、差し入れ出来たらするよ。ライラ嬢のクッキー屋と言わないところがルイーゼ嬢ぽいな」

と言う。

「そうですか?交代までこの場所動けませんので、よろしくお願いします」

と言って別れた。


たまに訪ねてくるのは、演劇鑑賞は、もうすぐですか?と聞かれるぐらいでトラブルはなかった。レガシー王子様の使いだという生徒からサンドウィッチが差し入れされた。正直嬉しい。中身は、ローストビーフと野菜が挟んであるボリュームあるサンドウィッチだ。

感謝。

そろそろ、交代のはずなのにレイラ様も三年生のメンバー、二年生も誰も来ない。どうしたのだろう?

メモ書きを残して、二年生の待機場所に行くとレガシー王子と従者のフランツ様がいて、差し入れの御礼をした。

「交代の時間のはずですが、誰も来ないのですが、皆様どこに行ったのですか?」

フランツ様が、

「私達も先程からいるのですが、連絡が取れないのです」

「そうですか。では、私は演劇舞台の方に行ってみます、確か三年生のメンバーが取り仕切ってくれているので、そちらで聞いてみます」

と言うと、レガシー王子様が

「少し待ってた方がいい。もうすぐ来ると思う」

と言う。そんな美しい顔立ちで言われたら、

「はい」

と答えるわ。レガシー王子様は、いろんな方から差し入れを頂いたらしく、これもあれもと出してくれる。

甘いお菓子は、美味しい。

「ルイーゼ様、レガシー王子様、ここにいたのですね、大変なんです。レイラ様が暴力を振るったそうなんです」

「えっ」

走って現場に向かうと中庭で人集りが出来ていて、レイラ様は、いなくて、サリバン様は、地面に座っているライラ様に声を掛けている。ライラ様は、頬を手で押さえていた。

近くの人に

「何があったんですか?」

と聞くと、レイラ様とライラ様の喧嘩と答えた。

いつの間にかレガシー王子様はいなかった。二年生メンバーの元に行き、指示をもらい、生徒の誘導をしてその場を離れてもらう。

フリップ王子が来た。サリバン様に指示をしてライラ様を救護室に連れて行ってもらうようだ。

何故かもやもやとイライラが同時にやって来た。

「フリップ王子様、失礼を承知して言いますが、何かご存知なのではないですか?」

と言った。フリップ王子様は、オーバーリアクションをしながら、

「何のこと?」

と言う。

「何か変です」

と言えば、フリップ王子様は笑う。何故笑うのかなとまた怒りが湧く。

「フリップ王子様、言っときますけど、助けたの貸し1ですからね。貸しですからね」

と前のことを持ち出して脅した。すると、フリップ王子様は、

「今、貸しを返している状態なんだけどな」

と言って苦笑いした。

どういう意味なんだろう。


あー、今日はバードの羽を持って来なかった。癒しが足りない。


その後は、何事もなく無事終わった。

ただ生徒会は、フリップ王子とレガシー王子は、来賓と話があるため帰り、残されたメンバーは、一体何故こんなことになったと頭を抱えた。

なんて言っていいかわからない。すると、生徒会室を訪ねて来た男子生徒が、

「すいません。少しよろしいですか?私、レイラ様の従者といいますか、後ろを歩かせてもらってるんです」

みんな心の中で知ってると思ったに違いない。

「現場にも後ろの位置でいたんです。言い争う声でした。レイラ様と女生徒の、それは確かなんですが、女生徒が一方的に煽っているようで、最初レイラ様は相手にしていなかったのです。しかしサリバン様の話になって、解放だとか恋心を利用しているとかの話で、お互いにどんどん止まらなくなって、ふっと話し声が止んで、そのまま平手打ちの音が聞こえて、二人倒れました」

ライラ様が煽った。

これは、証拠だ、記憶を消されてしまうかもしれない。

「今言った事書面に残してもらえませんか?」

と言うと、

「証言して貰えばいいんじゃないか」

と言われたが、

「フリップ王子様の入学式からの事件、皆様ならご存知なのでしょう?魔法の存在も」

「俄かに信じられないけど」

「精神に力を及ぼす能力があったと聞いてます。万一この方に何かあったら、レイラ様は、罪をきせられるかもしれない」

と言った。三年生のメンバーが

「レイラ嬢は、武芸が達者だからこそ、普通に暴力は振るわないと思う」

と言った。

みんなで大きく頷いた。

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