第24話 アイドル→マネージャー
「ねえアリス、どんな方法でいくつもりなの?」
「んー? やっぱり正攻法しか無いんじゃない? 話聞いて寄り添って、今それができるのはアリスたち女の子しかいないしー。あ、未来ちゃんラーラちゃんも呼ぶ?」
「やっぱりそうなるわよね。
未来ちゃんは忙しそうだから無理として、ラーラちゃんか、あの子も試合前だしできれば私たち2人で解決したいところよね。一応マネージャーとして初めての仕事なわけだし」
「だよね〜。
いやー、それにしてもアリスたちが宇宙に来てマネージャーかぁ。人生どうなるかわからないよね〜」
「そうね。アイドルやってたのがかなり昔のことのように感じるわ」
***
ー約2ヶ月前ー
「え……。
あの、もう一度言ってもらって構いませんか……?」
「はは、一度で理解するのは困難だろうね。しかし事実なんだ。もう一度言うよ?」
ある日、新たに仕事の打ち合わせが入った。
相手はサッカー協会の会長。内容は事前に知らせれてなかったので、時期的にワールドカップの開会式か閉会式で歌うとかかしら、なんて予想しながら私とアリスは打ち合わせに向かった。
しかしそこで耳にしたのは信じられない言葉の数々。
「もうすぐ宇宙人が攻めてくるんだ」
「それは茶番なんだけどね」
「宇宙を巻き込んだサッカートーナメントが開かれる」
「君たちにはそのチームのマネージャーを務めてほしい」
正直何かのドッキリかと疑ったわ。
隣を見ると、いつもなんだかんだ冷静なアリスも流石にパニックを起こしていた。
それでもどうやら事実らしい。
私たちは脳をフル回転させ何とか状況を理解した。
「でも私はともかくアリスはサッカーに詳しいわけではないですし、私だってそこまで詳しいわけではないですし、マネージャーになったとしてお役に立てるかは……」
「その点は大丈夫だよ。凄く優秀な監督もついてくださっている。それにミアくん、確か君はオフの日によくサッカー観戦をしていると聞いたのだがね」
「え! いやいや違いますよ! ちょっと暇つぶしで行ったことがあるだけで、家からも偶然近くて、だから別にサッカーが特別大好きとかじゃ……!」
「あはは、ではそういうことにしておくよ。それにマネージャーと言っても君たちに求めているのは癒しやメンタルケアの部分だ。宇宙人との戦いで確実に選手たちはメンタルを疲弊するだろうからね」
「そ、そうですか……」
ぐぬぬ。なんで私がサッカーファンってバレてるのかしら。お忍びでしか行ったことないのに……。
でもこれはチャンスかもしれないわ。正直地球を救うとか宇宙人とかそういうのは受け止めきれていないけど、それでも……。
「まあ今すぐ答えを出してくれと言っているわけじゃない。この仕事を受けるということは当然アイドル活動はできなくなる。
僕から無理強いはできない」
「……いえ、やらせてください」
「……いいのかい? もう少し考えてもいいんだよ?」
「はい! 大丈夫です。
……あ! アリス! ごめん勝手に言っちゃって……。
すみません会長やっぱりもう少し時間を――」
「大丈夫だよミアちゃん。
会長、アリスもマネージャーとして頑張ります!
地球が無くなるなんて……絶対に嫌ですから!」
「え!? アリス、ほんとに大丈夫なの?」
「うん! アリスはミアちゃんに一生付いていくよ!」
「……そうか。
本当にありがとう……!
ではこれからの話だが……」
***
「失礼します」
話を聞き終えた私たちは部屋を出る。
「いやぁ、凄い話だったねぇ。
今も現実感ないよ〜」
「そうねぇ。それにまさかチームにあの人がいるとはね。俄然やる気が出てきたわ。
……で、アリス、あんた本音は?」
「え〜? 本音?
別に地球を救った実績が付けば今後の人生安泰とか地球守りたい〜って可愛く言ってれば会長からの評価も高くなる。
とか全然思ってないよ〜」
「やっぱり。あんたってほんと現金よね」
「えへへ、アイドルはそれくらいの考えで丁度いいんだよ〜。
でもミアちゃんに一生付いていくってところは本当だからね」
「それが本音と思いきれないのがあんたの怖いところよ」
「え〜、酷いよぉ。
……でもミアちゃん、ミアちゃんこそ大丈夫? もしかしてまだあの事気にしてる? 前も言ったけど才能も実力の――」
「大丈夫! 確かに全く気にしてないっていったら嘘になるけどね。でも地球を救いたいって気持ちもほんとだし!
アリス、宇宙でも全力で頑張るわよ!」
「うんっ!」
***
ー現在ー
「ここが凛の部屋ね」
「じゃあ呼び鈴鳴らすよ〜」
「うん、お願い」
せっかくマネージャーに選ばれたんだもん。
今度こそ全力で頑張らなくちゃ。
絶対に地球を救うんだ。
そのためにも、まずは絶対に凛を助けてみせる……!
「……はい」
「あ! マネージャーのアリスとミアで〜す!
ちょっとお話……」
「……えって」
「え?」
「帰って!
ボクはあんたたちみたいな女が1番嫌いなの!!!」
凛はそう言い残して通話を切ってしまった。
「……ミアちゃん……」
「これは……予想してなかったわね……」
どうやらこれはそう簡単な問題ではないみたいね……。
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