幕間 「多文化社会Ⅱ」 沢木哲哉 a Sociologist

 〈プロジェクター文字〉

 沢木哲哉さんがあなたを予約されたZoomミーティングに招待しています。


 トピック:「多文化社会Ⅱ」(Zoom Live)

 時間: 2021年9月28日 02:45 PM 大阪、札幌、東京


 Zoomミーティングに参加する

 https://us02web.zoom.us/j/ーーーー


 ミーティングID: ●● ●●

 パスコード: ●● ●●


〈独白〉

【沢木】 

では「多文化社会Ⅱ」第5回の講義を始めたいと思います。


学生の皆さんは、私の声は聞こえていますか……はい、大丈夫みたいですね。


まだZoom講義に慣れていない学生もいるかもしれないので、何かあれば、ミュートを外していつでも発言しても大丈夫です。


さて、毎週出席する学生の数が減っています。


私としては、残念という気持ちはありますが、それ以上に寂しいです。


前回からは、出席した学生は、1名になりました。


先週まで参加していたあと2名の学生は、もう単位を必要としなくなったのかもしれません。


確か、その内の1名は、この講義が卒業に必要な単位になっていたはずですが……。


大学から指示があれば対応したいと思います。


では、講義に入ります。


本日のテーマは、「パンデミックからみる多文化社会」です。


これまで人類は、多くのパンデミックを経験してきました。


例えば、


ペスト。

スペイン風邪。


そして……白チ病。


この白チ病の蔓延により私達の生活が大きく変わりました。当初は、「ニューノーマル」等の新しい社会規範が定立され、パンデミック下における[日常]が進んで行ったのを覚えていると思います。


しかしながら、この「ニューノーマル」も無意味になるほど、世界は白く塗り替えられていきました。


もはや、私達には、[日常]などは、必要なところまできてしまいました。


私達にできるのは、ただ死を待つだけです。


本当に気が狂いそうですね。


死を待つだけなんて、本当に気が狂いそうですね。


気が狂いそう……。


でも、私達は、死を待つ以外に本当に選択肢がないのでしょうか。



    沈黙。

    その後、表情と口調が激しいものに変わる。



私には、選択肢がある!

自らの死を選ぶことができる!

それは誰にも止められない!

どちらにせよ「白」になる!

ただ「白」になるタイミングは、自ら選ぶことができるのではないか!

気が狂いそう!

気が狂いそう!

気が狂いそう!

いや、もう狂っているのか⁉️

なぜ、みんな冷静に死を待ち続けていられるのか⁉︎


「殉教者」気取りはやめろ!

もっと見苦しく生きてみろよ!

カッコつけるなよ!

オレ一人だけ惨めみたいじゃないか!


……もう、やめててくれよう……


もう……オワリにしようよ……


もう・・・・・・オワリ・・・・・・



〈プロジェクター文字〉

  沢木哲也が退出しました。

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