第18章―虚ろな心―2

 

『わぁああああっ!!』


 夢の途中で突然、目を覚ました。悪夢を見たかのような声を上げて慌てて枕元から起き上がった。



「ん…どうしたの?」



 隣で眠っていた女は目を覚ますと、紫色の長い髪を指先でかきあげて、不思議そうにハルバートの顔を覗き込んだ。


「まあ、凄い汗……。こんなに汗をかいて、嫌な夢で見ていたの?」


「リーナ…――」


 彼女は手を伸ばすと、彼の顔に触れた。


「いや、すまん。大丈夫だ……」


「ハルバート…――?」


 彼女は顔色の悪い彼を隣でジッも見つめた。


「それより起こして悪かった…――」


「いいのよ。気にしないで」


 余程いやな夢を見たのか、体が僅かに震えていた。彼女はそんな彼を心配すると、ソッと体に抱きついた。


「――震えてるわ。私が温めてあげる。さあ、右手を貸してちょうだい」


 彼女は彼の右手をとると自らの胸を触らせた。柔らかくて温かい胸を触ると、僅かに震えがおさまった。


「これでもう大丈夫。ねえ、あたしの事を抱いて下さる?」


「リーナ……」


「いつも見たいに激しく抱かれたいの。お願い。あたしを抱いて…――」


 彼女は着ているドレスを脱ぐと、そのままベッドに彼を押し倒した。


「やめろリーナ。俺は今は、そんな気分じゃないんだ」


「大丈夫よ、直ぐに良くなるから……。きっと嫌な夢も直ぐに忘れてしまうわ」


 彼女はそう話すと彼の首筋にキスをした。そっと啄むように、首筋から徐々に下へとキスを繰り返した。ハルバートは彼女に押し倒されたまま、無言でキスを受け入れた。


「ねえ、どう? あたしとしたくなった?」


「ッ…――。だから言っただろ、そんな気分じゃ……」


「じゃあ、どんな気分だったらあたしの事を抱いてくれるの? 昨日から貴方、変よ……? あたしが慰めてあげる。だから貴方はそのままジッとしてて――」


 暗闇の中で女は男に愛を求めた。彼女は自ら慰めると、口と手を使って、彼の身体に悦びを感じさせた。


「っ…リーナ…もういい、やめろ……」


 ハルバートは彼女に押し倒されたまま呼吸が僅かに乱れた。リーナは拒絶する彼を無理矢理、自分の思いどりにしようとした。


「じゃあ、抱いて…――。貴方が欲しいの…。酷い事されても良いから、貴方が欲しいの……」


「ッ…――!」


「淫乱な女だって罵ってもかまわないわ……」


「リーナ…ッ……!」


 彼は懇願する彼女に誘惑されると熱いものを彼女の口の中に出した。リーナはそれを全て飲み干した。


「ねぇ、ハルバート……。今夜はあたしが貴方を抱いてあげるわ」


 リーナはそう言って彼の上に股がった。そして、腰をゆっくりおろすと、彼の熱いものが体の奥に入ってきた。


「ぁ…ん…っ…あっ…あっ…ねえ、気持ちいい? ハルバート、あたしの中、気持ちいい……?」


 彼の上に股がると腰を動かして切なく喘いだ。ハルバートは自分の上で乱れてる彼女をジッと見つめた。


「ああ、熱くて良いよ……」


「本当に…?」


「ああ……」


「嬉しい…――」


 彼女は彼のその言葉に笑みを浮かべると、艶かしい姿で前で乱れた。


「ねえ、ハルバート。あたしの胸を触って。貴方に触って欲しいの…」


 彼女は甘い声でおねだりした。ハルバートは右手で彼女の白い右胸を触った。すると左胸も触ってとおねだりした。彼はため息をつくと左腕の事を話した。


「悪いが左腕は今、使えないから右手で我慢しろ」


 彼は目の前で乱れる彼女にそう話すと右胸の乳房を触って刺激を与えた。彼女は笑みを溢した。一方的な性行為が暫く続いた。リーナは喘ぎ声をだしながら、彼の前で乱れ狂った。そして前髪をかきあげると彼の唇にキスをした。柔らかい唇の感触に、ハルバートは少し気分が出てきた。彼女の体を腕の中で抱き締めると下から腰を突き上げた。するとリーナはその激しい動きに口からヨダレを垂らして乱れた。



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