第6章―竜騎兵―17
「命令するんじゃねぇッ! 行くか行かないかは俺達が決めることだ! それにお前さっきから癇にさわるんだよ!」
彼がそう言うとジャントューユは突如、テーブルの上にナイフを突き立てた。
「黙れ! いいから早く行け! でなければお前の部下をまた1人殺す!」
彼がそう言い放つとハルバートは呆れ返った。
「フン、生意気なことをほざきやがって! いいぜ行ってやる。テメーに部下をまた殺されたらこっちが困るからな!」
彼はそう言うと椅子から立ち上がって無言で彼を睨みつけた。
「あとひとつ付足しとおく。囚人を見つけたら金貨と美味い酒を寄こせ! でなきゃ、このことを洗いざらいギレイタスに報告してやる! 俺達はそこまでバカじゃないからな、今の言葉覚えとけよ!」
ハルバートはそう言い返すと周りにいる部下に命令をした。
「今からダモクレスの岬に行くぞ! 呼ばれた奴らは支度の準備をしろ!」
彼が命令を出すと、部下達は慌しく支度の準備にとりかかった。
「おい、そこのお前! 竜小屋に行って俺の竜とリーゼルバーグの竜を叩き起こして外に用意しとけ! ワイバーンじゃねーからな間違えるなよ、俺の竜だ! わかったな!?」
彼が部下の3人に命令を出すと、部下達は慌しく竜小屋へと向かった。ジャントゥーユは彼と一通り話をつけると、クロビスの元に戻って報告しようとした。するとハルバートが後ろから一言いい放った。
「逃げた囚人の話は終わったが、こっちの話はまだ終わっちゃいねぇぞ。部下を1人殺されてこっちが黙ってるとでも思ったか? チャンスがあったらテメーを殺す! でなきゃ死んだあいつが浮かばれねぇ、今の言葉忘れるなよ化け物!」
ジャントゥーユは後ろを振り向くと、不気味な顔で笑って言い返した。
「ああ、楽しみにしている……」
彼はそう言うと床に落ちている斧を拾った。そして、それを拾い上げるとスティングの方へと近づいた。そして、ジャントューユはハルバートが見ている目の前でスティングの右手を斧で切り落としたのだった。まるで壊れた人形をさらに壊したような光景だった。ジャントゥーユはスティングの遺体から、右手だけを切り落とすと、それを拾いあげてニタリと不気味に笑った。
「どうだ……これで憎しみが増してきただろ? もっと俺を憎め……そのほうが面白い……ククククッ……」
ジャントューユは彼に挑発的にそう言うと、不気味な笑い声をあげて部屋から出て行った。そして、スティングの切り落とされた右手は彼の戦利品として持ち帰られた――。
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