序章―混沌の世界―
やがて幾億年の長い年月が経ち、万物の生命は地上に溢れた。神が創世し、作られた箱庭には人、動物、植物、自然が繁栄された。在るままの存在には意味は無い。神が置かれた箱庭にはただ生命が溢れていた。だが、其処に神はいない。
神は長い眠りについた。そして、神にかわって天と地を支配する者は其処にはいない。何も意味を持たない箱庭にはやがて神にかわって、神に似せて作られた生命。人が天と地を支配した。
その名前を神は人間と名付けられた。人間は万物の生命の中でも高等な優れた種族だった。人間は常に進化するとその命を絶やす事もなく、力強い生命に溢れていた。
天と大地を人が支配すると、人はいつしか複数の種族にわかれた。妖精の中でも、もっとも優れた高等な種族がいた。彼らは人と同じく、神に似せて作られた人の形をしていた。高等な種族である彼らは自らをこう名乗った。我らはエルフ族と――。
エルフ族はユグドラシル、世界樹の木を守る種族であり。自然を愛した種族でもあった。深い森にエルフの王国を作り、彼らはそこで生命を繁栄させた。そして、彼らエルフ族は自分よりも小さな種族。
次にわかれた種族はドワーフ族だった。高度な鍛冶や、美術技能をもつ彼らは、外観は男女共に背丈が低くい種族だったがその反面。強く屈強で特に男性の多くは長い髭をたくわえていた。
ドワーフは自分達の国を明るい大地よりも深い地の底に彼らの王国を作り。地の底には幾つものの巨大な鉱山が作られていた。そして彼らは鉱山の中で鉱物を採掘する他にも、精霊のそれぞれの魔力を封じ込めた魔石。エレメント・ストーンを採掘していた。
次にわかれた種族はノームだった。小人族の彼らは主に地中で生活しており。その容姿は見た目は老人のような姿であり。手先が人よりも器用で優れた細工品を作る能力があった。
精霊のノームがいるが、中でも小人族となった人の形をしたノームは知性も高い種族だった。彼らは鍛冶が得意で。その優れた能力から、城や街などに召喚を望まれた。錬金術師の書いた魔術書などには彼らに剣造を依頼する記録も記される。
次にわかれた種族は半獣族だった。半獣族の彼らは獣でありながらも人間と同じく高等な知性を持ち。獣と人の血、両方を受け継ぐ。動物にとっての革命的進化を遂げた優れた種族であった。
半獣族は自由自在に、自分の姿を人から獣に変える能力を持ち。屈強な体格と時に破壊的な力を持つ彼らは、戦士としての気高い誇りを持つ種族でもあった。
彼ら半獣族は獅子族と虎族と狼族と猫族の四つの種族にわかれて互いに対立を深めた種族だった。半獣族は人の血が混ざった混血としての生き物でもあり。神の創造した生き物からは、理に反した生き物として。人族、エルフ族、ドワーフ族、天族に堕落の種族として意味嫌われていた。
獅子族は豪腕で剛力な力と体力と屈強な体格であると同時に総統力に優れた種族であり。群れで行動する種族だった。
狂戦士としても名高い獅子族は、恐れも知らぬ勇敢な戦士で。凶刃な顎でどんな敵をも噛み砕く力を持つ。半獣族の中でも、もっとも凶暴な種族だった。
虎族は獅子族と同じく力と防御に優れた屈強な体格の種族だった。冷静と判断力に優れた虎族は獅子族とは違い。戦いを好む種族ではなかった。だが、いざ戦いが始まれば彼らは獅子族と同じく勇猛果敢に戦いぬき、恐れも知らぬ狂戦士として戦う程の種族だった。
身軽で素早い動きの猫族は、体格は獅子族や虎族よりも小さく。力は彼らよりも劣っているが、猫族は半獣族の中でも頭が賢く。暗闇の中でも目は抜群であった。
狼族は誇り高き勇敢な戦士であり、気高い彼らはその一生を戦いに捧げる種族だった。速さに優れた能力と驚異的な身体能力に彼らは優れていた。
半獣族の次にわかれた種族は鳥族であった。鳥族の彼らは鳥類の中でも最も進化した種族だった。半獣族と同じく、混血の血を引く彼らは人から鳥へ化身する事で本来の力を発揮する種族だった。
同じ半獣族と違い、力はさほどないが。速さに優れた身体能力を持つ彼らは、翼で天空を支配する程の実力を持った種族だった。そして、賢い鳥族は時にずる賢い性格でもあった。
鳥族は3つの種族にわかれた。鷹族は優れた翼で天空を征して勇猛果敢に戦う戦士だった。鴉族は優れた翼を持ちながらもその精神は、魔族に似た精神をもち合わせていた。
悪知恵を使っては同族の騙し討ちなども、平気でやるような卑劣な種族であった。鴉族はいつしか人族と同族に嫌われて、いつしか鴉族は魔族側へと落ちたのだった。
白鷺族は混血でありながらも、優雅で美しい人の形をした鳥族であった。その絶世の美しさは人間すらをも嫉妬してしまう程の美しい種族だった。だが、皮肉にも白鷺族はその美しさの余りに人間や魔族にも狙われてしまう種族となった。白鷺族は自分達の身を隠すために混迷の森の奥深くへと隠れたのだった。
次にわかれた種族は人の形をしながらも純白の翼を持った天使族だった。神の使いである彼らは、遥か天空の頭上に天使の国を築くと、空から地上を神の目となって全ての行いを監視した。そして次にわかれたのは龍人族であった。龍と人の血を引く混血の彼らは、遥か古から長く存在する幻の種族であった。龍人族の彼らは、もっとも高等な種族であり。争い事に関しては一切顔を出さずに他の族種族とも戦わないような種族だった。
その龍族が一度戦いを始めれば、灼熱の業火の炎で全てのものを焼き尽くす程の強力で凄まじい破壊力をもっていた。
龍の体は全ての刃を砕く程の凶刃な鱗で覆われていて、龍の鋼の鱗は頑丈にできていた。全ての者は龍人族の持つ力に恐れおののき、どの種族も龍人族とは戦いを挑もうとはしなかった。
龍人族はひっそりと生きる為に世界から自ら姿を消すと、世界のどこかにあると言われている至上の楽園。シャンバラへと彼らは身を潜めた。
こうして人族、半獣族、鳥族、龍人族、エルフ族、ドワーフ族、ノーム族と、他の種族も次々に各地へとわかれていった。そして、最後に地上に現れた種族は魔族だった。
天使から堕天使へと堕落して落ちた一人の天使は闇に心を何年も囚われた。落ちた堕天使は一人の悪魔と契約する事で、大いなる巨大な力を宿した魔王として生まれ変わった。
魔王の体からは邪悪な悪魔と魔族が次々に生まれると、魔族は偉大なる魔王を称えて魔王のしもべとなった。魔王は悪魔と魔族を従えると、地獄の冥界ジャハンナへと姿を消した――。
地上を支配していた人間達は愚かで醜い争いを人間同士で繰り返ししあった。大地は穢れた血で赤く染まり、堕落した人間の醜態は、おぞましい程の人間の呪われた歴史を幾つも作り上げた。
そこには殺戮、虐殺、破壊、暴力、支配、征服、略奪、強奪、強姦、悲劇、惨劇、禁忌。ありとあらゆる忌まわしき所業がこの天と地で繰り返されていた。神が作り上げた箱庭は、いつしか人間達の愚かさと醜態を見せつけるような壊れた世界がそこには無数に広がっていた。
さらに時は過ぎ、神が眠りについてから、やがて60億万年の月日が経った。そして、ある日それは前触れもなく訪れた。
神は深い眠りから突然と目覚めた。そして、神は目覚めると眠りについている間に地上では、一体何が起こっていたかを自らの目で見た。そして、神は全てを見て知ると絶望した。
自分に似せて作った人間達が地上を支配している事。そして、人間が作り上げた愚かな惨劇の歴史に神は深く失望したのだった。人間達の他にも、愚かな種族同士の醜い争いに失望すると神は嘆くように呟いた。この世界に終焉を――。
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